私が壊したもの | Indigo Walts

Indigo Walts

カウンセラーNorikoのアレコレ。

九州の実家に帰った元部下が

GWに上京するという。


某SNSで繋がっている我々。


「じゃあ、そのころ私も上京しようかな。」


ずいぶん前に書き込んだ記憶が。



さて、そろそろ私も日程を決めないと、と

相手の上京日程を確認しようとしたところ



あれ?



私の書き込みだけが消えてますぜ。



・・・・



しばらく思案。




・・・




納得。





なんというか納得できる理由がすごくわかるので

腹も立たなければショックも受けないし


じゃあ今後は気をつければいいか、と思うぐらいなのだけど


意外と周囲には、そういうことで必要以上にダメージ受けて

大騒ぎする人が多い。


それが普通?なのかなー。

私が鈍いのかなー。

怒りのポイントとかも人とズレがち



うーん。



まぁいいや(笑)。



せっかく思い出したので、その時のことを。


私の中でも、かなりの大事件であったことは

間違いないので。



急成長するベンチャー企業、人の入れ替わりも多い中で

極めて特殊で閉鎖的な部門があった。夜勤である。


業務の特殊性により、運営に社員すら関わっていない。

創業当初からのベテラン派遣社員が切り盛りしていた。


部門は違えど、何かの折に知り合いになり

未経験で入社したうえに、

周囲に頼れる業界経験者も少なかった私は

業界の現場ノウハウを彼から学んだ。


社員だろうが派遣社員だろうが

できる人間が上に立つのが当然と思っているし

本当に頼れる先輩だった。


業界の中で幾つもの会社を渡り歩いており

経験豊富であったが

一般的に言えばアンダーグラウンドな部分の多い人でもあった。


しかし、業界や会社にとって必要なこと、大切なことなどへ

強い信念をもっており

私自身が入社直後に感じた思いと通じるものもあった。


お互い一人旅が趣味で、

情報交換をしたり、旅行の報告をしたり

いわゆる仲の良い友達になった。



数年が立ち、私もそれなりの管理職になった。

もちろん、彼のお陰である部分も多い。


彼は、ずっとその閉鎖的部門を任されていた。

しかし、数ヶ月交代だが、社員が常駐し

会社が介入するようになった。


彼のノウハウを会社に生かすためにも

もちろ労基関連に関しても必要なことだし、

社員常駐は遅すぎるぐらいだと感じていたが


そもそも彼を信頼していたし、

多少のいざこざはあれど

常駐の社員にとっては良い学びの場になるだろうと思っていた。



それからしばらくして、

先の閉鎖的部門に、私が赴くことになった。



その後、3ヶ月ぐらい過ぎた頃だろうか。



結論から言うと、


極めて合法的で極めて会社的に


その組織から、会社から、


彼を排除した。




彼独自の運営、

そこには負の遺産が多すぎた。


気に入った子へのストーカー行為、

1日に500回を超えるいたずら電話、

面談という名のセクハラやいじめとも取れる行動。


そこで働く人たちは、口を揃えて彼を擁護する。


「必要悪なんです。

問題なのは分かっています。

でも、彼がいなければ、この組織は成り立たないんです。

彼がいるからこそ、なんとか回ってるんです。」


ターゲットとなった人は

数ヶ月で辞めていく。


その繰り返しが延々と続いているという。

閉鎖的だからこそのなせる業。

噂が広まらないのだ。



彼とも連日何時間も話をしたし、


彼の部下たちからの総攻撃も受けた。


「この必要悪を容認して私たちは働いている。

数ヶ月しかいないあなたに、この環境を壊されるいわれは無い。


特殊性の高い、この業務は、

彼だからこそ作り上げることが出来たものであり、


このまま事態を飲み込んで大人しくしていてくれなければ

全員退職をする。」


彼のカリスマ性が最も感じられた一言である。


彼と、彼の育てた部下無くして

この業務はありえない、それも重々理解できる。




おそらく、私の前に赴任した数名は

見逃したか、気にしなかったんだろうな。




私が問題をオープンにすればするほど、


日々状況はエスカレートしていった。


隠れてやっていた悪行が表に出てきた。


彼のスタンスを維持することで、

そして擁護派を見せつけることで


「この世界では、誰がなんと言おうと私が王である」


そういっているように感じた。




でもね、

ここはあなたの国でもなければ

あなたの経営する会社でもないんだよ。


私の勤めてる会社を、

働いてくれてる大事な子たちを

傷付けたり、振り回すのはやめて欲しい。


功績があるから悪いところは飲み込む?


もちろん、すべて善だけで仕事は出来ない。

私にだって、

見方によっては問題行動ととれるものもあるかもしれない。


でも、飲み込めるものと飲み込めないものがある。


少なくても、私は見逃せない。


私はそういう人間なんだ。




さて、どうするべ。


こんな問題の解決法、マニュアルには書いてない。

完全に、オーバーフロー。

上司に相談した。




相談してて、気が付いた。



「 ・・・最初から、分かってたんだね? 」



「 彼と私がもともと仲が良いのも、尊敬してるのも知ってたよね?」



「でも、問題に気が付いたら

私が黙っていられるような性格じゃないってのも

知ってるよね? 」



ごめん、できる限りのフォローはするから、と。



残酷すぎるぜ。馬鹿野郎。




とりあえず、

極めて会社的に


言動を管理し、報告書を作り

派遣元の担当者を交えて会談。


彼に事前に知らせることなく会合を持つため

深夜である。

急に呼び出された派遣会社の担当も

驚いたに違いない。


当の本人も、

さすがにここまで急激な手段に出るとは考えていなかったようだ。


派遣会社さんのほうから契約終了の提案がなされ

その時点をもって務契約終了の決定。



男性社員数名が付き添い、

荷物をまとめてもらう。


男性社員数名には事情を話して、残って貰った。

申し訳ないけど、1人2人で対応できるレベルではなかった。


「いままでお世話になりました」などと話ながら・・・

ちょっとした隙を突いて逃走!


業務エリアに行ったようだ。

ターゲットの子を探しに行ったに違いない。


慌てて取り押さえ、再度帰宅を促す。


各フロアの入室には、IDカードが必要なのだが

何故このとき、取り上げてなかったのか

今でも不思議でならないのだが。



彼が帰るまでの間、

私は、まさに今ターゲットになっている子と

誰もいない会議室の1つへ。

業務エリアからは離れており、まっくら。


ターゲットの子への執着が大きな要因であることは

間違いない。


彼が会社を出るまで引き離し

彼が帰ったら時間差でタクシーで家まで帰らせるという計画・・・


だった。



ふと、会議室のドアが開いた。



彼だった。



なんで?なんで?なんで?



「あなたって、いつもこう。だからダメなのよ!」


「ちょっと、その子と話がしたいの。

それまで止める権利はないでしょ!」



今頃はもうタクシーで帰ってるはずなのに!

彼は顔を真っ赤にして興奮状態。



まずい。



彼とターゲットの子の間に入りながら


押さえようと思ったが、恐怖が先に立った。


ツインピークスを思い出した。


最後のほうで

赤いカーテンから人が出てくる悪夢のようなシーン。



深夜の会議棟には、ほかに誰もいない。


ここにいることを誰も知らない!



彼の脇をむりやり通り抜け、

ターゲットの子と人の居るほうへ走った。



どうやら、会社の出口までは送ったらしいのだが

IDを回収し損ねていて、戻ってきていたらしい。


派遣会社の担当は、既に帰ったそうで。



男性社員に、今度はタクシーに乗り込むところまで見送って貰い

時間差で、ターゲットの子をタクシーで送り出した。


彼は家が遠いので、簡単に戻って来れない。

後日のストーキングの可能性は否めないが、

すくなくても今日は、無事にターゲットの子に帰宅して貰いたい。


そう思っていた。



もう、この頃には、明るくなっていた。


後で、タクシー作戦が有効であったことを知ることになる。



その日の朝、夜勤が帰宅する頃、

ビルの前に彼が現れたのだ。

あの子を探しに。



当分、私は裏口からタクシーを使って帰るようになった。



予期せぬ突然のカリスマの退職。

組織をまとめる立場の人々を集めて、説明をした。


これで、かれらが全員辞めるという話になれば、

それはもうしょうがない。


なんとかするよ。


腹をくくった。

くくるしかなかった。


みんなその日は無言で帰っていった。



しかし、翌日も、その次の日も

いままでの勤務状況と変わりなく業務は続き


1ヶ月後。


私の赴任期間の最終日、みんなで仕事あがりのビールを飲んだ。


AM10~12時ぐらいにカフェでビールを飲んでるわけで

非常に目立つ集団になってしまうのだが(笑)。


そこで、


「あの時は、本気で辞めようと思ったし、

本気で彼のやり方が正しいと思ってた。

本気であなたを何様だよこいつ、めんどくせぇと思った。


でも、それだけじゃないってことがわかった。

また一緒に仕事がしたいです。」


そう思わなかった人も、

カタチだけ、最終日だからと顔を出した人もいるだろう。


それでもかまわない。

人それぞれ。

私は私のしたいようにしただけなのだ。


私のエゴを貫いたことだけ、詫びた。

良いか悪いかは別にして

迷惑をかけたことは間違いないから。



話が長くなったが、先のコメントを消した部下は

そのときの組織の一人。


まだ、カリスマな彼とも親交があるのだろう。


私の書き込みを見て、カリスマな彼が悪く思わないはずが無い。

だから消したのだろう。


でも、部下のマイミクからは私は消えてないし、

他の絡みもある。



なんかね、そう思うと、嬉しくなった。



カリスマな彼は、やはりすごい人なんだなーって。

問題行動はあれど、友人として、先輩として、同僚として

考え方とか、頑張ってたこととか、ちゃんと分かってる。

それをみんな分かってて

会社の立場上、そして、私の性格上

ああいう結果になってしまったけど

個々はちゃんと引きずられることもなく、関係修復してる。


よかった。



みんな、迷惑かけてごめんね。