娘の 姫 は、私の連れ子だ。
出生後、まだ目も開かぬうちに離婚した。
離婚届を出して数日後、元旦那は行方不明になった。
多額の借金を残して。
幸い、私に返済が降りかかるような事は無かったが、養育費、慰謝料、当面の生活費、何一つ無いまま、赤子を連れた私は世間に放り出された。
23年前の冬、現金3万円だけを握りしめて。
実家に身を寄せたが、元々家族と折り合いが悪かった私は実家に長居できる訳もなく、姫を保育園に預けて、半年働いた給料を頭金に アパートを借りた。
当時の勤務先は社会保険がなく、休みは日曜と祝日だけ。日給月給制で給料は約12万円。健康保険や年金等そこから支払っていくと、残りは10万ほど。
アパート代は4万3千円。
親子2人でよく生きてこれたものだ。
日給制だったから、体調が悪くても休む訳にはいかなかった。
姫の体調が悪くても。だ。
風邪で発熱した姫に、お弁当と水筒を持たせて
1人で留守番をさせる。
何度あっただろう。
当時はスマホもなかったし、家に電話もなかった。
今思うと、なんて恐ろしく、なんて可哀想な事をしたんだろう。
生活に追われて、生活費に追われて、気づいていたのに、気付かないふりをした。
ごめんね。姫。
お金より あなたの方が大切だったのに。
姫が5歳になった頃、私の勤務先に 現夫となる むぎ男君が転職してきた________