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第1話

第2話

 

----------これまでのあらすじ-----------

学校から帰って来るなり、
今度学校で友達と
コントをやることになったので
「コントの作り方を教えて」
と言う小2の娘…


---------------そして前々回のつづきから


「じゃあまずは設定出しからやるか」

私の言葉にキョトツンの娘。

「せっていだし?」

「あのね、コントにはね、
 設定というのがあってね
 まあベタなので言うと…」

「ちょっと待ってねママ」

すぐにお絵かき帳を折った
自作のノートにメモを取り出す娘。

いいぞ!
初めてのバイトでそれが出来ると
意地悪な先輩に
「あのさあ~メモってくれる?」とか
言われずに済むぞ!

娘は筆箱から
スヌーピーの2Bの鉛筆を出し
必死にメモを取りつつ言う。

「ねえママ、ゆっくりね?
 ゆっくり!
 あと小学生用だからね!
 わかってる?
 こどものコントだよ?」

「わかってるよ。
 設定と言うのはね
 シチュエーション…
 えーと、まあ簡単なので言うと、
 お医者さんと患者さん、とか
 あるでしょ、そういうの」

少し考えて娘が
「あ、
 どろぼうとおまわりさん、とか?」

おぉ!理解している!

「そうそう、そういうこと!
 そういうのでね、
 何かおもしろいことが起こりそうな
 設定を考えるの」

「何かおもしろいこと?」

「うん、
 ただのお医者さんと患者さんだと
 普通だけどね、何か付け足してみると
 ちょっと変になるんじゃないかな?」

「変に?」

「うーんそうだなあ、例えば
 『すごく怖がりの』お医者さんと
 『すごく声の大きな』患者さんだと
 どうなるかな?
 そんな風に、色々付け足して
 考えてみるの」

「怖がりのお医者さん?
 え~!変だよ~
 声の大きい患者さんはいるかもしれないけど」

「変だよね~
 しかもすごーく怖がりなんだよ?
 そんなお医者さんのところに
 すごーく声の大きい患者さんが
 入って来たら
 きっと
 飛び上がってびっくりしちゃうよね。
 注射するのも
 怖くて目をつぶっちゃうかもねえ?」

「あはは
 それじゃあ逆だよー」

「 そ う だ よ ね ~ 
 逆 だ よ ね ~ 」

「逆~! 変~!」

「そう~ 変 なんだよ~ 変 」

「んふふ~」

「あははー」




…書けや!!!

今やろ!

メモらんかい!

今の会話で
「…ハッ!!!
 そうか!そういうことか!
 わかった!わかったぞ!!
 (ガリガリガリ!)」
って、なるんちゃうんかい!

小堀やったら今頃
筆箱の角でどつかれてるで!

でも小堀じゃないから大丈夫!
だって小2のかわいい娘だもの!

とか思っているうちに
声に出しながらメモり出す娘。
ちゃんとわかってた!

「えーと、まずはせっていだし。
 かっこ、たとえば
 おいしゃさんと、かんじゃさん。
 ドロボーと、おまわりさん。
 それだとふつうだから…」

ものすごくちゃんとメモってる!
すごい!
そしてすでに小堀より字がキレイ!
えらい!

「なにか、へんなことを
 つけたす。たとえば~…」


でも、

果たして


果たしてこれでいいのか?


まだ8歳の子供に、
こんな型通りのベタな
古いコントの作り方を教え
その通りに作らせて本当にいいのか?

大人と全く違う感性を持ち、
大人と全く違う思考で考える
単純で純粋な面白さを知っている
子供だからこそ、
8歳の今だからこそ、
この子にしか考えられない
ネタの作り方があるんじゃないのか?

私は愚かにもこの手で
その無限に広がるはずだったこの子の
笑いの可能性を
潰してしまったのではないだろうか!

やってもうた …!!!



「ねーママ?
 書けたよ~ ありがとう!」

「捨てろ」

「え?」

「こんなもの捨てなさい!!
 全部忘れよう!ね!」

「なんでママ!?
 せっかく書いたのに!
 今からこれ見てネタ考えるんだよ!?」

「見なくていい!
 じゃあこうしよう。
 今書いたことは
 なんとなく基礎として
 ふんわりと一度頭に入れて、
 入れたけど、それから
 全っっっ部ぶっ壊して
 そのメモをやぶってから
 あなたが今、本当におもしろいと
 思えることを自由にやればいい!!!」

「えっ、えっ? 何???」


やばい。

娘、混乱しかしてない。



果たしてネタは出来るのか?


そして今日、
学校から帰って来た娘が衝撃発言。

「コント…
 またやる日が延びちゃった。
 っていうか出来るのかな?
 みんなやめたいって言い出して…」

新たな問題が!!


どうなる?娘の初コント!



     -----------次回に続く----------