、大晦日にYoutubeを観て勉強し、練習してできるようになった。去年の抱負は、“talk less, listen more (話すより、人の話を聞こう)”であった。去年の抱負は、汚い言葉禁止とか口笛とかに比べると、主体的な判断でしかないが、まあまあ達成したのではないか、と自負する。特に2025年最後の二か月半は、ポルトガルに移住したものの、言葉が分からず、図らずとも、“talk less, listen more”になっていたのだから![]()
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今年の抱負は、去年の延長線上にあって、“Take it Slow(ゆっくりやろう)”だ。相棒が、大昔勤めていた会社のヴァンクヴァーBC支店で働いていた、ちょっと年上の女性と家族ぐるみで仲良くなったことがある。彼女は、メキシコからの移民である母親と二人暮らしをしていた。素敵な女性のお母さんは、やはり素敵で、彼女(お母さん=グラディス)は知的かつ直感的で、話をしていて飽きなかった。その頃、私はまだシアトルに移り住んで10年も経っていなかったので、もう仕事はしていたものの、英語に関しては、まだ修行中という気分だった。グラディスは、自分もまだまだ英語の勉強をしていて、特に“ゆっくり話すように気を付けている”と言っていた。グラディスは、“慌てないで、ゆっくり発音すると、発音は分かりやすく、きれいに聞こえるわよ”と言った。それ以来、私は、ゆっくりと英語を話すようになった…という事はなく
、なにせ根がせっかちで、日本語も早口なので、英語をゆっくり話すのも至難の業だった。
話し言葉だけでなく、私は職場でも、仕事が早いので有名だった。部署と部署の間を移動する時も、常に走っているので、ついた綽名が、Speedy Gonzales
。そのうちに仕事だけでなく、私生活でも、効率の良さばかりに集中していて、他は二の次だった。食事に1時間も取るのが嫌だったので、職場の昼休みには職場の通りむかえのジムに行っていた。筋トレしてからだと、走る時間は一回につき30分に限られるので、効率を良くするために、どんどんスピードを上げて行って、一時は30分で6.5キロ程走っていた。
人と話す時も、相手とコミュニケイションを取る、というよりも、早くポイントを押さえてしまいたい、という衝動ばかり強くなってきた。けれど、そういう態度で人と話すと、respondではなくreactしてしまう。Respondとreactの日本語訳をグーグル先生に訊くと、respondは、応答する、reactは反応する、と出てくるが、要するにrespondというのは、応答というよりは、相手の言葉、もしくは起こった事を理解した上で善処する、と言った意味が強く、reactは逆に、言葉や行動に衝動的に反応する、という感じだ。だから、reactは、事故や突然の出来事に対する反応でない限り、ややネガティヴな意味合いを伴う。例えば、誰かが、“さっきの計算書のことだけど、僕の出した数字とちょっと違うところがあるんだよね。もう一回見てくれないかな?”と言ってきたとする。
React: “私が間違ってたって言いたいの
?”
Respond: “どの計算?あ、そうだね。分かった。もう一回計算してみるよ”
と、この位、差がある。私の場合は、背景を説明しようとして余計な情報まで入れてくる人に、“結局、何が言いたいの?さっさと結論だけ言ってくれ
”という態度だった。だけど、仮に全然無駄のない会話をしたとして、一体私はどの位時間を節約できたというのであろう
?
最終的に、私は約3.5人分の仕事を任せられるようになり(誰かが退職すると、新しい人は雇われず、仕事が全部私に回されてきた)、でも役所なのでそれで給料が上がるわけでもなく、試験なしで昇進するわけでもなく、ただ役所が2.5人分の給料の節約をしただけだ。私は、どんどん仕事が早くなり、その代わり、職場の人間に対しての気配りが減った。Speedy Gonzalesの上に、Scary(おっかない)という形容詞がつくようになった
。
ポルトガル移住の手続きをするにあたって、そして、実際にポルトガルに引っ越して、全てがあまりにものんびりゆっくりしているので、そこでやっと、自分の辛抱の無さが、米国(シアトル)や日本の、効率&スピード信仰で作られた物だったんだな、とやっと気づいた
。効率とスピードで上がるのは、生産性と利益だけだ。人間の幸福度は上がらない。“安い、旨い、早い”の吉野家だって、人間の幸福度は上げていない(美味しいけどね
!)。そんなに急いで飯を食って、また急いで仕事に戻って、もっと仕事して、それで一番得しているのは、企業であって、人間ではないのでないか、と思う。でも、それは資本主義の基本であろうから、資本主義の国で生きている限り、公務員であろうが自営業であろうが大企業であろうが、変わらないのだろう。
ヨーロッパの中で、社会主義の原則を資本主義的経済に取り入れているのは、スウェーデン、デンマーク、ノルウェイ、フィンランド、フランス、ポルトガル等である。デンマーク、スウェーデン、ノルウェイが、国民の幸福度の高い国にランキングされているのも、あながち無関係とは言い切れないだろう。北欧には行ったことがないので、スウェーデンを始めとした、幸福度の高い国の効率とスピードがどのようなものかは知らないが、少なくても、ポルトガル人に対する私個人の印象は、アメリカ人(シアトル人)のそれに比べると、やはり幸せそうであるし、親切だ
。
そんなわけで私の今年の抱負は、何事もゆっくり、である。私にとって、一番大切なのは、幸福だ。ポルトガルにせっかく引っ越したんだし、郷に入っては郷に従え、という事で、さよなら効率&スピード。今日は元旦なので、インフルエンザと肋骨のヒビの為に二か月ほどできなかったジョギングを開始した。ヒビが完璧に治ってるわけではないし、二か月のブランクがあるので、私は早くは走れなくなっていた。走行記録を確認していたら、二倍位時間がかかっていた
。肋骨のヒビが、こんなところでまで役に立つとは…
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