「最上さんが俺の恋人役？嬉しいな。」
蓮は微笑んだ。
「私で皆様が信じてくださるかわから
ないですがよろしくお願いします。」
「堅苦しいな。俺と最上さんの仲で。」
「紛らわしいこと言わないでくだ
さい////」
「はは。それにしても綺麗になったね。
最上さん。」
蓮は目を細める。
実は蓮は３年ほどアメリカで活動
していて数ヵ月前に帰ってきたばかり
だった。
キョーコの二十歳の誕生日とアメリカ
に渡る前に告白めいたことをしている
のだが冗談ですよねと笑い飛ばされた。
「君の活躍は社さんから聞いている
よ。昨年は大河ドラマのヒロインだ
ったね。俺、向こうで見ていたよ。」
「ありがとうございます////」
顔を赤らめるキョーコに蓮は思わず
視線を反らした。
(…綺麗すぎる///素でもナツだ。)
キョーコはすっかり大人美人となり
あんなに気にしていたバストも順調に
発達していた。
「付き合っている奴とかいるの？」
蓮は思わず訊いてしまった。
「私なんか…敦賀さんこそ、向こうで
結婚されるのかと思ってました。」
キョーコは呟くように言った。
「君は相変わらず酷いね。君に振られて
から、もう結婚なんて考えないことに
したんだ。だから、軽い付き合いなら
いいけど結婚してと迫られるのはうんざ
りだ。最上さんがガードしてくれるのは
嬉しい。」
「そう…ですか。お役にたてるなら
嬉しいです。」
キョーコは３年前に蓮が真剣にプロ
ポーズしてくれたことは判っていた。
その時はやっといじめ役から脱した
ばかりでまだ女優として確固たるポジ
ションにいなかった。
蓮はBJ役を演じたことを発表して
からハリウッドからのオファーが
殺到し、３年程度アメリカに渡ること
になっていた。
「俺とのこと考えてくれる？一緒に
アメリカについてきて欲しいけど…
今すぐでなくてもいい。」
蓮はキョーコにプロポーズした。
キョーコは首を横に振った。
「そんな冗談止めてくださいね。
アメリカには行かないし、３年待ち
ません！！」
「俺は本気で君のことを…」
「もう！敦賀さん止めましょう。
お料理のこと心配ならフリーズ
ドライで空輸しますよ？ふふ。」
一世一代の演技をしたと思う。
あれでよかったのだ。
あの告白は気の迷いだ。ハリ
ウッドに一人でいくのが怖かった
のかもしれない。
キョーコなら英語を話すし、
料理上手だし、気心も知れてる
から。
大好きな蓮を自分のせいで
潰すようなことはしたくなかった。
自身もやっといじめ役から脱して
好感度も上がってきたのに逆もどり
するのが怖かった。
(…敦賀さん、結婚願望なくなっちゃ
ったんだ。そうか…)
キョーコは考え込んでいて蓮が
ずっと見つめているのに気がつか
なかった。
第３話に続く