「あらっ、ピクニックですか？楽しそ
う。」
千鳥役の朝比奈が現れた。
キョーコはモー子さんを蹴落とした
人だと怒りが込み上げるのを必死で
こらえ、笑顔を浮かべた。
「こんにちは。今日からよろしくお願い
します。」
キョーコの挨拶に朝比奈は苦笑する。
「京子さんも連絡見てませんね。」
「？」
「読み合わせ中止になったのよ。緊急
に何か打ち合わせが入ったみたいで。
私、はりきって一番で来たのに恥ずかし
い////」
「そうでしたか。よかったら一緒に
お昼たべませんか？」
「いいのかしら？ありがとう。」
その時、社が急に立ち上がり、スマホ
を確認した。
「蓮、打ち合わせ時間が繰り上がった。
呉前さん、待ってらっしゃる。」
「ああ、最上さん逹の読み合わせが
中止になったからですね。」
蓮も頷き、二人は足早に去っていっ
た。
「残念。敦賀さんとお話できると
思ったのに。」
「朝比奈さん、敦賀さんとお知り合い
ですか？」
キョーコが訊ねると朝比奈は頷いた。
「一昨年のPURPLE DOWNⅡで共演
したのよ。京子さん、見てないんです
か？ふふ。敦賀さんのファンじゃない
ですね。」
その作品て？！
「森住さんも出ていましたよね？」
「ああ、ニコちゃん？あの子には現場
めちゃくちゃにされたわ。紅葉役あなた
でホントによかった。」
「あの、敦賀さんと森住さん親しいと
伺っているんですが？」
「はあっ？！ニコまた吹聴してるの？
敦賀さんは被害者！ニコの被害者！」
語気を強める朝比奈にキョーコは目を
丸くする。
キョーコはその後、偶然にもピン
キー・リングの真相を知ることが出来た
のだった。
End