本誌を読んで社さんまだ、事務所にいるん
だと気がつき、ひらめいた作品です。
＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊
『お疲れ様です。二日早いですが、今、
日本に到着しました。』
蓮のメールに驚く社。
「泥中の蓮」のオーディションの真っ最
中に届き、溜め息をつく。
(…キョーコちゃんが心配か。)
『ゆっくり休んでください。明日にでも
またこちらから連絡します。』
蓮にそっけないメールを送る。
「紅葉」は獲れそうで今日メールして
やろうと思うが、相手は難敵呉前Pだ。
準備不足で何度うち(LME)の女優が落選
したことか。
(…蓮には申し訳ないが、今日はキョーコ
ちゃん集中でいくよ。)
紆余曲折があったが、キョーコは紅葉
を獲得。奏江は落選。
(…オーディション中に琴南さんが落選す
るのは予想できた。ビジュアルがイメー
ジと違うとこういうことがある。彼女に
もいい経験だな。)
社は蓮に連絡しようとしたが、一緒に
食事していたキョーコが戻らない。
胸騒ぎがした。
事件が収まるのに時間がかかった。
その間に事務所から「蓮のことで至急
連絡があるので戻るように」と電話が
あった。
帰ってきたばかりなのに？
しかし、よくないことなのは容易に
理解できた。
本当は蓮のマンションにキョーコを
連れていこうと思っていたが、事件で
遅くなったし、「至急」が気になった
ので迎えに来る時間を告げてだるまや
前に降ろした。
すぐに蓮にメールで「紅葉」獲得を
伝え一時間後に電話する旨を告げた。
逢わせられなかったのは申し訳ないが
電話できるよという兄心？かな。
LMEに着くと宝田社長と松島主任に
呼ばれてバールームへ。
「蓮が女優と一緒のところを撮られた。
動画だ。相手は天下無敵のあの週刊誌
だ。」
松島が口火を切った。
「うわあ、揉み消し不可ですね。」
社が絶句する。
「俺は社長と懇意だから揉み消せるが、
今回はそのままで行く。」
のんびりと話す宝田。
「「えーっ？！」」
社と松島は驚く。
「相手は三流女優、場所は飲食店。
大抵の人間がスルーするだろう。
貴島くんも同席しているらしいし
な。気にするのは蓮と最上くんくらい
だろ？」
「そこで何で最上さんが？」
首を捻る松島主任。
「あ、やっぱり！」
社は声をあげる。
「さすが、社くんだな。あの気取った
蓮があたふたするの見るの楽しいぜ。
貴島くんが数日後に同席していたこと
を話す予定だ。」
「なんだ、大作入ってるのにスキャン
ダルかと驚きましたよ。」
松島がホッとする。
「ああ、クーと共演の『ギャラク
シー・ウォーズ』ですね。」
社が頷く。
「呉前さんがプロデュースする予定だ
から蓮が暇だったら挨拶に連れてっ
てくれないか。そうそう、ヒロインは
琴南さんに決まったからな。」
松島の言葉に社は微笑みを浮かべる。
「それは楽しみですね。」
End
初稿2018.7.22