「そうですね。ゆくゆくはハリウッドに
進出したいですね。」
敦賀さんは微笑みながら語った。
私は敦賀さんと共演しているドラマの
企画でインタビューを受けていた。
「京子さんは？」
インタビュアーに質問されてしどろ
もどろになる。
「わ、私はハリウッドなど滅相もない。
１日１日を精一杯生きていきます。」
インタビュアーや敦賀さんにもクスッ
と笑われた。
でも、本当のことだ。ハリウッド
など夢また夢だ。
「最上さんはハリウッドに行く気は
ないの？」
敦賀さんに訊かれた。
「わ、私は駆け出しの…女優とは呼ば
れないクラスですし。」
「最上さんは英語が堪能で、言葉の壁
がないからいいとおもうんだけど。」
「無理です！敦賀さん、どうしてそん
なにハリウッドを勧めるんですか？」
「…………………。」
敦賀さんは何やら考え込んだ。
そうですよ。過剰なリップサービス
は人を傷つけるんですよ。
「一緒にいたいから…」
敦賀さんはぼそっといった。
「えっ？」
私は聞き返した。
「何度も言わせないで欲しいな。
恥ずかしいじゃないか。」
乙女のように恥じらう敦賀さんに
絶句する私。
(…何て言ったんですかあああ。)
私は聞き漏らした自分を悔やんだの
だった。
End