「敦賀蓮 本日午後３時、交際宣言！！」
「えーっ？！敦賀さん彼女いたの？」
奏江は驚きを隠せない。
「京子さんじゃないですか？」
千織は冷静だ。
「違いますよ。キョーコちゃんさん
ですよ。」
キョーコは二人に紅茶を注ぎながら
説明する。
「キョーコちゃんさん？！」
二人は顔を見合わす。
「何それ？あんたじゃないの？」
「違います。説明させていただきます。」
説明を受けた二人は「うーん」と
唸った。
「あんたじゃないの？キョーコじゃ
ん。」
「そうですよ。みんな京子さんと呼んで
るのに、名字で呼ぶなんて変ですね。
特別な感じがしますね。」
「違うっ////そんなことないっ///」
キョーコは必死に否定する。
「キョーコちゃん、３時に会見場に
来てね。蓮の交際宣言に立ち会って。」
突然、現れた社の言葉に凍りつく。
「なぜ、私がそんなとこに！嫌で
すっ。行きません！」
キョーコは拒否する。
「ごめん、キョーコちゃん。社長
命令なんだ。」
社は申し訳なさそうにいって立ち
去る。
キョーコは地面に崩れ落ちた。
「何で…社長さん知ってるくせに…」
涙が溢れだす。
蓮の愛するキョーコちゃんを間近で
見ろというローリィ。
「キョーコ、代わりに私行く？」
奏江が気遣うように声をかけた。
俯いていたキョーコだったが、
顔をあげたキョーコは笑っていた。
「後輩に彼女さん見せびらかすですっ
て？いいですよ、見て差し上げます
よ。じっくりと。」
未緒より恐ろしい笑顔に二人は
凍りつき、道を開ける。
「やあ、最上さん。早かったね。どう
した？怖い顔して。」
蓮は神々スマイルを浮かべた。
「敦賀さま。お邪魔だとは思います
が、社長に来るよう言われたものです
から。」
「そりゃそうだよ。最上さんいなきゃ
話にならないよ。」
「……………。」
「では、定刻になりましたので、敦賀
蓮、京子ダブル主演の『交際宣言！！』
の記者会見を始めさせていただきま
す。」
(…えっ、えーっ？！)
キョーコは絶句する。急に自分のメイク
や衣装が気になり、落ち着かなくなる。
蓮が挨拶を始めた。
「皆様、驚かせてすみません。エイプリ
ルフールだからこのくらいはいいですよ
ね？」
蓮がおどけるようにウインクすると
会場から笑いがもれた。
「前から熱望していた京子さんと共演が
決まり舞い上がってしまいました。」
蓮のメガトン級の社交辞令にキョーコ
は真っ赤になった。
「これを機会に京子さんと交流を深めた
いと思います。」
蓮は微笑みながらキョーコを見たが、
キョーコは俯いていた。
「最上さん、会見は終わったよ。そろ
そろ顔上げたら？」
蓮に促されてもキョーコは俯いたまま
だ。
「怒ってるの？それとも俺と共演が
嫌？」
「怒ってますよ！交際宣言ってドラマの
タイトルじゃないですか！ドラマの話
も今日初めて聞きました！」
「ごめんね。日時が日時なのでこんなの
もいいと思って。」
蓮は謝ったが、キョーコはかみつい
た。
「ホントに交際宣言すると思ったじゃ
ないですか！！」
「え？」
「彼女さんがご一緒だと思いまし
た。ああ、もうっ、驚いた。」
安堵しているキョーコに蓮は
距離を縮めた。
「彼女がいたら嫌だった？」
蓮の問いにキョーコは顔を紅潮
させた。
「そんなこと！私、そんなこと思っ
てません！」
蓮はクスッと笑った。
「思ってほしい。嫉妬して欲しい
な。」
「そ、そんな！彼女でもないのに
そんなこと////」
「彼女になってくれる？」
「えっ、敦賀さん何いってるんです
か///」
「ダメ？」
「あ、あの////急になにを言ってるん
ですか。あーっ、エイプリルフールで
すね！騙されませんよ！」
「違う、関係ないよ。」
蓮は必死で言ったが、キョーコは
ひとり納得していた。
「もうっ、何度も騙されませんよ。
お疲れさまでした！！」
キョーコは元気よく挨拶して立ち
去った。
「最上さん…俺、本気なんだけど」
End
2018.4.1初稿
2018.11.19加筆修正