「京子さん、OKしてくれたよ。」
(…えっ！何も言ってませんよ！)
似非紳士の微笑みを浮かべる蓮に
心の中で猛烈抗議の『坊』キョーコ。
「名前も知らない鷄の着ぐるみの僕とよ
く女優さんが会ってくれることになった
ね。」
ふてくされながらキョーコは言った。
「大丈夫だよ。君達お似合いだと思う
から。」
(…どこが！！)
眼をむくキョーコ。
「俺も時間があったら顔出すけど行け
なかったらごめんね。」
「何だよ！初対面だぞ！女優の京子に
何かあったらどうしようとか思わない
のか！」
素で怒るキョーコ。
「思わないな。」
あっさり蓮は言った。
(…ひどい！ひどすぎる。許せない！)
「僕はいかないからねっ！」
「無理しちゃって。相手は女優だ
よ。」
「僕だって俳優だ！」
ぶちギレの『坊』キョーコ。
「ぷぷっ、そうだね。君は紳士だと
信頼してるよ。俺の秘密を唯一話せ
る親友だ。」
蓮はじっとキョーコを見た。
罪悪感に一歩あとずさる。
「買い被るなよっ。敦賀くんと僕じゃ
格が違うし、とにかく彼女はいらない
よ。」
「もったいない。京子は可愛いし、
スタイルもいいし、性格もいいし、
料理が上手で結婚するには最高の女性
だよ。」
突然の言葉に着ぐるみ内のキョーコ
は沸騰し、汗がだらだら出始めた。
蓮は爆弾発言しながら、平然として
いた。
「そ////そんなに素晴らしいなら敦賀
くんが結婚すればいいだろ！何で僕に
押し付けるのさ！」
蓮はキョーコの言葉に首をかしげて
考え込んだ。
「あれ？君ってグラマー好き？確かに
京子はスレンダーだが、自転車で鍛え
ているから脚に適当な筋肉がついてい
て体力はある。夜も強いと思うし、感
度もよさそうだよ。」
(……@&&#$¥@%&+@&！！！)
キョーコは絶句した。
(…身体が貧弱だからそんな嘘のPRまで
して…エッチだし、敦賀さんなんか
大嫌いだ！)
「もう、京子の話はいい！僕帰る
よ。」
「一緒に帰ろうよ。そうそう彼女の
肌はビロードのように滑らかで触った
ら気持ちよさそうだ。」
「うるさい！もう、止めてくれ！来週
は顔出すなよ。」
「それは無理。仕事で来るし。」
「ああ、もう！」
「今、女の子みたいな声だったよ。」
「そんなことない！変態で女好きだか
らそう聞こえるんだ。」
「へんたい？へんたいってどういう意
味？」
「ふざけるな！じゃあな。」
『坊』キョーコはドスドスと音を立て
て立ち去った。
「あはは。ホントに最上さんは面白い
な。本当のこと言ってるのに照れてる
のかな。君は美しくて愛しいよ。で、
へんたいってどういう意味だろう？ス
マホで調べるか」
スマホを取り出す蓮。
変態…①普通と違う形・状態
②性に対して異常である
変態○欲
(…嘘だろ。不味いよ俺)
がっくり肩を落とす蓮。