「私の気持ち?」
「俺の勘が正しければ、キョーコちゃん
蓮のこと好きなんじゃないかと思っ
て。」
「…………。」
車内で社に単刀直入に聞かれてキョーコ
は凍り付いた。
『泥中の蓮』のオーディション時の
行動でばれてしまったのは歴然だ。
古賀や森住仁子にバレたのとは訳が
違う。ここを乗り切らなければ本人に
知られてしまう。
気合いを入れなくては。
「勿論、好きですよ?尊敬する先輩で
すから。」
キョーコは微笑んだ。
「恋愛対象としてはどうなの?」
「先輩をそんな対象で見たことはあり
ませんっ!!」
「さっきの蓮見て何も感じなかっ
た?」
社は直も畳み込んでくる。
「それは素敵です。絵画から抜け出し
てきたような美しさで、さすがモデルも
されている方だなと。」
キョーコは淡々と蓮を賞賛した。
(…違うーっ、キョーコちゃん、そんな
表面的な美辞麗句でなく…。)
社はガッカリした。