「坊のことですか？」
ブリッジロックのリーダー石橋光は
いきなり、事務所一の大スター敦賀蓮に
声がけされて驚いた。
「君たちの番組のアシスタントだから
彼のこと詳しいと思って。」
蓮はとびきりの笑顔(神々スマイル)で
光に訊ねた。
(…背が高いなあ。足長っ。本物間近で
見るの初めてだけどオーラ半端ない。)
光は蓮に圧倒された。しかし、片想い
中の『京子』からメンバー以外の人に
は坊が京子と教えないで、特に敦賀さん
にはと言われていたので怯むわけには
いかない。
「すみません。俺達、坊のことは何も
知らなくて。」
光はさも申し訳なさそうに答えた。
「残念だな。あと知ってそうな人いる
かな？」
「えっ！えっと(…隠し通してくれる
人は…)琴南さん、女優の琴南奏江さん。」
「へえ、琴南さんは坊の彼女？」
蓮は極悪な笑顔を浮かべたが、緊張し
ている光は気がつかない。
「さ…あ。でも、仲がいいと思いま
す。」
「そうか。ありがとう。忙しいところを
呼び止めてごめんね。(蓮は光を自分より
年下と思い込んでいる)」
「とんでもないです。お話しできて光栄
です。」
光と別れた後、蓮はひとり笑った。
「あっはっは。」
坊の正体はわかってしまった。
奏江の友人はキョーコだけだ。
(…最上さんに俺、恋愛相談してたんだ
な////想い人は自分だなんて露ほども
思ってないよな。birthdayのリクエ
ストをこっそり聞いてみるか。取り敢
えず坊とは普通の関係で…と。)