(…わかってるわよっ!私みたいなものが
敦賀さんに好かれるなんてない!
そんな…そんなずうずうしいこと…。)
キョーコは悔しいとは思わなかった。
自分の評価はいつもそんなもの…。
ただ、蓮に釣り合わない自分が無性に
悲しかった。
「最上さん、泣いてるの?」
キョーコはソファに突っ伏していた
ため、蓮が部室に入ってきたのに気がつか
なかった。
「敦賀さん////」
キョーコは飛び起き、ソファに正座
した。久しぶりに会う蓮にどぎまぎ
した。
「誰かに苛められたの?」
「ち、違います。これは紅葉の研究
で…あっ!」
キョーコが弁解している最中に蓮は
キョーコの涙を指で優しく撫でた。
「あ、あの////」
「最上さんにはいつも笑っていて欲しい
んだ。最上さん、ひとつ聞いていい?
4月のあの日…どうして不破にキスさせ
たの?」
蓮の口調は柔らかだったが、真剣だっ
た。
なぜしっているのか…キョーコは驚い
たが、誤解はされたくないので話始め
た。
「あの日…ショックで放心状態であいつ
と話す気力もなく、でも心配してくれて
いるのは判っていて……すべてが面倒で
されるがままで…。だからコーンが来て
くれたと思ったときは嬉しかったです。
すみません、突然飛び付いて大声で
泣いて…。」
キョーコは照れくさそうに笑った。
そう、なんとなく判っていた。
当日会っているのだから。
しかし、不破とのキスにショックを
受けてキョーコと会うのを躊躇った
情けない自分がいた。
恋人でもないのにキョーコには誰も
指一本触れて欲しくなかった。
「あの?私も聞いてもいいですか?」