「ご指名?いやや、絶対いきません!」
ウメは首を横に振り続けた。
「う~ん、古賀さんよ?ウメさん、どうし
たの?」
女将が疑わしげにウメを見つめた。
「こ、古賀さんはちょっと苦手で…。」
「困ったわねえ。他の子だと古賀さん
ちょっと心配なのよね。」
「え、女将さんどういう意味ですか?」
「い、いえ///仕方ないわね。私がお世話
します。」
「すみません。」
ウメは古賀に会わないように茶室に
こもって道具を磨いていた。
(…絶対怒ってる。先日の件で、嫌がらせ
されるに違いない。でも、私はキョーコ
ちゃんを守ったのよ。)
ウメは一人納得した。
「ウメさん、みーつけた。」
茶室に入ってきたのは古賀弘宗だった。
(…ひーっ、何でや。)
「お茶ですか?まだ、準備中です。」
ウメはとぼけた。
古賀は爽やかに笑って見せた。
(…嘘!この笑顔、うそくさい。似非紳士
や!)
「お茶はいいかな。ウメさん、京子
ちゃんの携番教えてくれる?」
「な、なんで、私が…。」
「判ってるよね。ウメさん。」
そう言って古賀は人差し指を自分の頬
に当てて、にっこり微笑んだ。
(…怖いよお、キョーコちゃん、堪忍や。)
End
2017.11.1加筆修正