「俺が、クー・ヒズリの息子?」

   「違いますか?」

       突然のキョーコの言葉に蓮は動揺した

   が、撮影が終わるまで話す訳にはいかな

   い。

    「違うよ、最上さん。誰がそんなことを
 
     言ってたの?」

     言葉遣いは優しいが、不快に思っている

ことを怨キョアンテナが感じとりキョーコは

たじろぐ。

     「え…と。あ、あの…。」

     「噂を信じてはいけないよ。」

    蓮は微笑んだが、目は笑っていなかった。


   
    その日を境に蓮はキョーコと口を利かなく

なった。

     絶望感にうちひしがれるキョーコ。

    「何?あれ。」

     泰来が奏江に聞くと、奏江も首を傾げ

 た。

     「さあ、役づくりの一環?」

     「??」

     「あの時からなんだよな。」

      二人の会話に貴島が割って入った。

      「あの時?」

       二人は異口同音に訊ねた。