「きれい!!」

   透き通るように美しいビーチだ。

   見渡すところ他に人はいない。

      「これを着用してね。」

   渡されたのはオレンジ色のライフジャケッ

ト。

      「??」

      「じゃあ、後ろに乗って。ちゃんとしが

みついててね。振り落とすとまずいので。」

      蓮はジェットスキーに乗るように促し

た。

      「は、はい。」

      キョーコはおずおずしがみついたが、

水しぶきをあげて猛スピードをあげるジェッ

トスキーに驚き、しっかりしがみついた。

       「きゃああぁぁぁーっ!!」

     (…めちゃくちゃこわいんですけどぉぉ)

   
       「着いたよ。」

      蓮に手を引かれて降りたところは、ビー

チの真ん中に浮かぶ砂浜。

     「すごい。こんなところに白い砂浜

  が。」

     「星の砂だよ。キョーコちゃん。」

      蓮はサングラスと茶髪のウイッグ

を外した。

      金髪と緑色の瞳にキョーコは驚いた。

     「コーン!!」

     「キョーコちゃん、今まで隠していてゴ

メンね。」

      キョーコは蓮に抱きついた。

      「コーン!コーン!」

      「俺は再会したときに言ったよ?君を愛

 してると。」

       「わ、私も、敦賀さんもコーンも大好き

  です!」

        「キョーコ!!」

        二人は幾度となく、キスを交わした。


   
       「コーン、どうして嘘ついてたの?」

         キョーコに問われ、蓮は苦笑した。

         二人は砂浜に腰を下ろし、蓮は

         キョーコの手の甲に星の砂を並べて

     いた。

       「いろいろ事情があってね。それよ

  り、キョーコって呼んでいい?敦賀蓮の声

  じゃ嫌?」    

      「滅相もありません!あ、ありがたすぎ

   て…是非、お、お願いします!」

       「クスッ、俺はコーンじゃなくてクオン

 だよ。キョーコ」

      「クオン?クオン…あーっ、もしや先生

 の息子さんのクオン・ヒズリさん?」

    頷く蓮にキョーコは絶句した。

      「私、本人の前で演技したのね。」

      「うん、ホントに昔の俺だった。そろそ

ろ戻ろうか?バレンタインのお返しも用意し

てるし、なにより君をいっぱい愛したい。

今日も明日も明後日もずっとルームサービス

になると思うけどいい?」
   
       「あ、あのそれは…は…はいっ。」

    ゆでダコのように真っ赤になりながら

 エステとエロかわインナー無駄じゃなかっ

たと密かに安堵するキョーコ。

  (…人生最高のホワイトデーですっ!!

   でも、コーン、クオン、蓮……きゃあ

   あぁぁぁーっ!どうお呼びすればー)





     機内。


  「敦賀蓮さんと京子さんですね?」

   いきなり、客室乗務員に名前を呼ばれて

二人は驚いた。

    「空港ロビーには報道陣が待機しており

ます。誘導いたしますので、ご一緒にお越し

ください。」

     頷く蓮とショックでふらつくキョーコ。

     「大丈夫だよ。俺がなんとかするか

ら。」

    蓮はキョーコを客室乗務員に頼み、自分は

報道陣の方へと向かった。

    報道陣は整列して待ち構え、テレビカメラ

も全局勢揃いだ。レポーターも勢揃いで、

ファンもスマホ片手に歓声をあげながら待っ

ていた。

   (…結婚を発表しなければならないか。)

  蓮が覚悟を決めた瞬間、腕をつかまれた。

  「社長!!」

  「蓮、金屏風は必要か?」

    にた~と笑うローリィを見た瞬間、通報者

が誰か理解した。

   「要りません!」

   蓮は足早に報道陣の方へと向かった。

    レポーターがマイクを向けた。

    「敦賀さん、トラジックマーカーの

    B.Jはあなただという噂ですが、本当です

   か?」

    「え?」(…やられた!!)

                                                     End