LME社長室

    「どうしても連れていくのか?蓮」

  ローリィは蓮に尋ねた。

     「はい。いくら俺が好きだといっても

  彼女は本気にしてくれません。向こうで

  彼女に俺の本気を見せつけます。」

    「うわあ、蓮。最上さん誘惑する気か。」

      俳優セクションの松島が呆れた。

    「どうして今なんだ?最上さんも女優とし  
て評価があがってきている。今、お前との交

際が公になったら彼女はズタズタになる!」

     椹は猛反対した。

    「勿論、判らないように変装します。
 
    彼女を危険に晒すことはしません。全身全

霊で彼女を守ります。」

       ヒューと松島が冷やかした。
   
    「社くん、君が最上さんの臨時マネー

ジャーの時にスケジュールを調整したのか?

最上さんがこんなに休みがとれるなんてあり

えない。」

     椹が不愉快そうに社に尋ねた。

     「はい。キョーコちゃんと蓮のスケ

ジュールを調整しました。」

      社が正直に白状した。

      「とにかく、諸君!」

      ローリィが椹の詰問を制した。

      「愛の伝道師ローリィ宝田は、人の恋路

は邪魔せんよ。しかし、最上くんは未成年

だ。交際が発覚すれば…。」

        「発覚すれば…?」

    蓮を除く3人が同時にごくりと唾を飲ん

だ。

          「結婚して貰う!!」

          「おおっ!!」
     
        皆が仰天した。

       敦賀蓮ほどの超絶いい男が21歳かそこ    
らで結婚?!あと20年ほどは遊べるだろう?

        「いいのか、蓮?20代の美人女優いっ

ぱいいるぞ。」

       松島が同情するように言った。

        「彼女じゃなきゃダメなんです!」
   
      強い口調で語る蓮を椹はじぃーっと

   見つめていた。


     
       「社長、蓮の本名はコーンですか?」

        皆が蓮を冷やかしながら去ったあとに

    椹はローリィに尋ねた。

      「椹くん、なぜそれを?確かに蓮の本名

はクオンだ。(英語の堪能なローリィにはクオ

ンと聞こえた。)」

      「最上さんと蓮の昔のやり取りからふと

思い当たったのです。」

        「ほお。」

        「蓮と最上さんは幼馴染みで、蓮にとっ

て最上さんは初恋の女性ではないかと。」

          ローリィはニヤリと笑った。
           
        「昔のやり取りとやらを詳しく聞かせて

くれたまえ。」