‐‐‐‐‐‐‐ウブ卒業?‐‐‐‐‐‐‐

 

「……」

 

「ショー!そんな顔すんなよ~!」

 

慌てたヒデに肩を組まれ、聞きつけて追い付いた二人に頭をワシワシ撫でられた。

 

「いいじゃん、両想いには違いない」

とカッキー。

 

「あんな可愛い子とうまくいったんだろ?イヤならオレが代わりたい」

ハマーが笑っている。

 

「ゴチャゴチャ考えないで、青木ちゃんとうまくやれよ」

ヒデが元気になってきた。

 

「男はバカだからさ、かわいい子に迫られたらひとたまりもないよな」

 

はたから見たらそういうことなんだろう。そういうことにしておくか。

 

「否定しない」

 

ワッハッハッハッハー!

きみしろメンバーとわちゃわちゃ歩きながら考えた。

 

男はバカ、否定しない。おそらく同年代だと、女子の方がメンタル大人。

 

青木は確かにかわいいけど、それだけじゃない。

一番惹かれたのは多分、包容力。人柄からくる優しさ。

青木だから話せた俺のヤバいところ、最大のコンプレックス、ADHD。

 

自分をずっと欠陥品だと思ってきたけど、ありのまんま受けとめて、ちゃんと診断受けてみて、もし改善できるものなら、取り組んでみよう。いざというとき、守れる男でいたいから。そんな風に思わせてくれたのは、青木なんだ。

 

「キスしてきたのに、シレッと済まして、コイツ」

ヒデに脇腹を小突かれた。

 

「ウルセー」

 

「ウブ卒業だな」

カッキーが微笑む。

 

「いや、でも下ネタはやっぱ苦手」

 

その辺は分かち合いたくない!今後も一切開示しない。

 

「アッ、逃げた」

 

「ショー、待てコラ!」

 

ゲラゲラ笑いながら皆で駅までダッシュした。

 

気の置けない仲間。

そして、かわいい彼女。

 

俺って恵まれてる。

ラッキーだ。