‐‐‐‐‐‐‐委細面談‐‐‐‐‐‐‐

 

熱が籠りやすい体質なんだろうか、一旦ヒートアップすると、なかなか汗がひかない。

 

首にタオルをかけ、一人だけシャワーを浴びたかのような風体でPAに戻ろうとしたら、林先輩から

 

「槙田、まだ汗だくじゃん。俺やるから涼んでろよ」

 

と声を掛けられ、ありがたく従った。もうメンタルは平時に戻りつつあるのに、毛穴から流れ続ける水分。

 

水分。水分とらな。

廊下に出て、販売機のある昇降口に向かった。

 

いつもはコーラだが、ここは水だろ。南アルプス天然水を押しかけて、寸前でカオリンのウィルキンソンレモンに変えた。甘くない炭酸水ってどんな感じ?美味いのかな。

 

キャップを開け、一口含むと、ビリッ!と電流が走った。

は、言い過ぎだけど、コーラよりかなり刺激が強い。初めてコーラを飲んだ時の、小さい頃のショックを思い出して、ちょっと笑った。大人だな、カオリン。

 

推しと同じドリンク買うなんて、俺って健気。恥ずかしいから一気に飲んでしまおうと思ったが、ピリついて一気は無理。やむなく残りを持って会場に戻る。

 

「委細面談」が、なんかアコースティックで涼やかな曲をやっていた。

 

あぁー、いいなコレ。俺らの曲で傷んだ皆の耳にきっと優しい。

 

委細面談、詳しくは会って話しましょう、か。

話してみないと、人ってやっぱりわかんないんだよな。

 

本当は、今日は無理でも、機会を見つけてカオリンに気持ちを伝えるはずだった。ダメで元々、自分に区切りをつけたいが為の、決心。でも、青木への気持ちに気づいてしまった今は、なんかもう、ダメだ。

 

学校を抜け出して騒ぎを起こしたような奴に何か言われても、混乱させるだけ。青木の為にも、カオリンの為にも、この気持ちは封印する、永遠に。

 

委細面談が歌う二曲目は、ミセスグリーンアップルの夏の恋の歌。なんか今日は、刺さるなー。