‐‐‐‐‐‐‐朝練‐‐‐‐‐‐‐

ライブ当日、ヒデと待ち合わせて学校に向かった。ことバンドに関しては普段グータラな俺らはいつも完ぺき時間厳守。

「またサワちゃんのドラム見れんの楽しみだ」
ヒデの表情が明るかった。

「ああ、ソロも凄かったけど、バンドで見れるの、最高だな」

「完全にレベチってわかってるけど、少しでもマシな演奏したくて」

「オイ、お前の緊張って、そっから来てんのか?」

「ソレだけじゃないけど、一番デカいかも」

かわいいなぁ、コイツ。

「手が届かないって、わかっちゃいるんだけど」

それは演奏テク、それとも?

「まだ決まったワケじゃないじゃん」

カッキーが励ましてくれたように、ヒデと自分に言い聞かせた。

「諦めたらそこで試合終了」は、スラムダンクか。でもホントにそうなんだ。何が起きても変じゃない。生きてる限り、可能性はゼロじゃないんだ。

「ちょっと早すぎたか。まだ7時ちょい過ぎだぜ」

「そうだな」

昇降口でカッキー&ハマーと合流、部室に向かうと、朝の静けさの中から、3Sの三人の奏でる曲が聴こえてきた。なんか、英語でバラードやってる。登録してたのはわりとテンポのいい2曲だったから、ライブ用じゃないな。

「誰の曲?」
ヒデが尋ねる。

「わからん」
ハマーが答えるが、

「おめーに聞いてねーよ。カッキー、わかるか?」

俺たちの中で一番洋楽に詳しいカッキーが、

「ビートルズの…、なんだっけ曲名」

曲が知りたくて、練習室の手前の小部屋に入り、耳を澄ませた。





にほんブログ村 小説ブログ 恋愛小説(ラブコメ)へ
にほんブログ村