‐‐‐‐‐‐‐望み‐‐‐‐‐‐‐

家に帰ると、青木からLINEが入っていた。

「明日、いよいよだね」

「ん、耳栓用意したか?」

「しないよ、しっかり聴くからね」

「どーなっても知らんぞ」

「✌🎵」

「ありがとう。すごく励みになる」

「またまたー」

ここ二三日、準備が忙しくて殆ど話せていなかった。思わせぶり、になりたくなくて、無意識に避けていたのかもしれない。

「明日…」

「何?」

「もし良かったら朝一緒に行けたらなぁって」

「…ん、明日か」

「ダメ?」

「詰めの朝練があって、ヒデと待ち合わせてメッチャ早くいくことになってて」

1分1秒も惜しいから、3Sが終わるまで待機してたいし、道中ヒデと話もしたい。

「そっかー」

「ゴメン」

「ううん、わかった。がんばってね」

LINEを終えてから気付いた。青木、誕生日じゃん、明日!

そんなささやかな望みも叶えてやれない運命を呪う。でもここは、ヒデをほっとくわけにはいかない。

ゴメン…、青木。
帰りは、約束した通り一緒に帰ろう。

「ヤッベ、忘れるとこだった」

横浜デートから戻った翌日、新百合ヶ丘の駅ビルで買った小さなプレゼントをカバンに仕舞った。





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