‐‐‐‐‐‐‐ライブ前日‐‐‐‐‐‐‐

木曜日。今日はスタジオがどこも取れず、練習室も他バンドに譲ったので、丸一日あいてライブ当日の明日が、ぶっつけ本番になることがわかった。

「オレ、ダメだ。緊張する」

ヒデがすごくナーバスになっていた。俺と、カッキー&ハマーは中学でもやっていたのでライブ経験があるが、ヒデは人前で楽器を持つのが初めて。俺とのハモりもあるから歌も初披露になる。

本番のシミュレーションで客席との近さを知ってからは、益々不安を募らせるようになった。

「オイ、ベースがコケたら話になんねーぞ」

ハマーがからかうが、応じる元気もない。マズイな、マジでヒデがビビったら共倒れだ。

「椎名んとこの3Sが朝練やってるって聞いたけど」
カッキーが冷静に話した。

「本番当日、朝ちょっとだけでも合わせられたら、ヒデ落ち着くんじゃね?」
ハマーも同調。

「わかった。何時から出来るか、ちょっと佐久間に聞いてみる」

助けてもらって以来、時々LINEで情報交換していた。訳を話すと、7:30から8時までの30分を、快く譲ってくれた。

「朝練、盲点だったな」
ハマーが驚く。

三人ともあんなに上手いのに、運動部並みにガチで練習してる。そういえば、登戸のスタジオでも何度か見かけた。

「助かるよ、ショー。恩に着る」

「そんな、俺が元々ヒデを引っ張りこんだんだから」

少しでも不安を取り除いてやれたら。





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