‐‐‐‐‐‐‐求愛‐‐‐‐‐‐‐

立ち止まったまま、俺の目を見て静かに放った一言。

いきなりの直球に、言葉が、出てこない。

「他の男子じゃダメ。ショーがいいの」

「ちょっと待て、青木」

「待ちたいと思ってた。ショーが振り向いてくれるまで」

「だから、待てって」

「もー、待てないもん。好きが、止まんない」

「喋るの待てってば。俺にもコクらせろー!」

「え?」

ハァハァ、俺にはない、求愛の勇気と、他を顧みない覚悟。俺のより遥かに、強い思い。なんだかんだあったけど、俺はやっぱりこの子に狩られたんだ。

「煮え切らなくて、グダグダでゴメン。色んな想いを、引き摺るタチなんだ。でも、ちゃんと青木のこと考えてるから、ライブが終わるまで、待ってくれる?もし付き合うなら、俺からもちゃんと、コクりたい」

「…わかった」

恋愛に於いて重要なのは、距離と時間。どっかで読んだ。

紹介でもされない限り、人は、共に過ごす誰かの中から、パートナーを見つける。

それってつまり、誰かと親密になりたかったら、先ずは一緒に過ごす「時間」を作んなきゃ、ダメなんじゃん。

そういうの、椎名や青木はちゃんとわかってるんだ、本能的に。青木のいるバスケ部にわざわざ移った本多だって、きっと。

情けな!カオリンと一緒の部活というだけで満足して、その利点を全然生かせなかった、俺、情けな!




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