‐‐‐‐‐‐‐ひとり‐‐‐‐‐‐‐

気のせいだと、いいんだが。

科学室に移動するときや、休み時間、いつも青木と一緒に行動してた伊東と前田が別グループと談笑、今日は青木がひとりでいるところを見掛けることが、多かった。

友達の多い青木は、二人以外ともよく話すが、一番よく一緒にいた二人と、明らかに離れている。

コレってもしかして、「お試し」の影響か?

ってことは、二人は俺の…(ファン)?

うわーハズイ、出来れば知りたくなかった。そういえば俺のしょうもないギャグに、いつもよく笑ってくれる二人だった。

こういうの、男だったら、「テメー、抜けがけしやがって!」と、軽くボコって終わりだが、女子はどうやって収拾つけんだろう。

これがキッカケでボッチになったら…

心配だ。


放課後、今週末のライブでやる2曲を軽く流して、キメの確認を終えると、SASAMIに譲って、練習を早々に切り上げた。パンクはとにかく消耗するので瞬発力勝負。カオリンのことが気になったが、入れ替わりの時に、今日は何故だかいなかった。

「この2曲は毎回散々やってきたからもーエエやろ」

ハマーがスティックケースをカバンに仕舞いながら言った。

「二曲目も、も少しポップな曲のが良かったんじゃないか?」と、カッキー。

「ダメ。ここはハードコアやって爪痕残そうぜ」

張り切るヒデ。曲名も、正に「爪爪爪」。

「ヒデ、サビんとこ今日みたくハモってくれると喉が大分助かる」

「あぁ、お安い御用」

元々パンクやろうって俺が誘ったんだもんな、ここは女子ドン引き覚悟でハードコアで行く。

「覚悟」、か。

「俺、ちょっと今日急ぐ。お先!」

「ヒュー!待ち合わせか?」

からかう声を背に、バスケ部のいる体育館に向かった。




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