‐‐‐‐‐‐‐ヒデとハマー‐‐‐‐‐‐‐

週明け、駅の改札を出たところで後ろから肩を叩かれた。

「よっ」

「なんだ、ヒデ」

「オース!」

「ハマー、珍しいじゃん」

普段はわりと朝遅めの二人が、ニヤニヤして両脇に詰めてくる。待ちぶせしてたんじゃねーだろうな?

「カッキーは?」

「あー、知らん。アイツもっと朝早いだろ」
ニヤついたまんま、とぼけた調子でヒデが答える。

カッキーに、まずお礼言いたかったな。デート指南、すっげー助かった。

「で?」

「何が」

「ハッテン、した?」

やっぱそこかよ。
ギャッハハハと笑い転げる二人を見ながら、何か暗澹たる思いを抱えて構わず先を急いだ。

男子が複数集まった時特有の、色事(エロ事)をサカナにワイワイ騒ぐやつ、俺も乗っかるとき有るけど、青木と俺のことには触って欲しくない。なんか…、穢れるー。あのヨコハマ・ジャーニーの日と同じ、澄んだライトブルーの空を見ながら思った。

「おーい、待てよ」

「ぶっちゃけ、どこまでいった?」

「ヨコハマ」

「場所なんか聞いてねーよ、白々しいなー、テメー」

「あー、ウルサイウルサイ!まずカッキーに報告して、それからだ」

「蠣崎、なんで?」
不思議そうなハマー。

「色々アドバイス貰ったから」

「なんだよお前ら水くせーな」
不満そうなヒデ。

「アイツ、何気にもう彼女いるもんなぁ」
ハマーが呟く。

「まっ、それはいいから、教えろって」

「教えねー」

仲間内でネタにするための「お試し」じゃねーんだ、察しろや。もしそんな風に話が広まって勘違いされたら、青木を傷つけてしまう。



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