‐‐‐‐‐‐‐決め手‐‐‐‐‐‐‐

「何かまだ、踏ん切りつかないみたいだな」

「蠍座、引き摺るタイプ。母いわく」

「オレは射手座。前しか見ない、母いわく」

「射手座なんて矢がどこ飛んでくかわかんないじゃん、何狙ってんだよ」

「うるせーな」

「チィ兄ちゃん」

「アレ?またそこ着地?」

「二股」

ブッ!コーヒー吹いた。

「きったねーな」

「バカ、何言い出す」

テーブルを拭きながら睨む。

「決め手は?」

「ハァ?」

「二人のうち、一人に決めた、決め手」

「そりゃーもう、簡単だよ」

「教えて」

「どっちがいなくなったら、辛いか」

「そこ?」

「顔が可愛いとか、胸が大きいとか、そういう要素って、実はそんなに関係ない。いなくなったときの喪失感、それに尽きるね、オレは」

「喪失感?」

「いなくなったり、他の誰かのもんになったりしないと、わかんないんだ、自分にとってその子が、どれだけ大事かなんて」

「バレて、すごい揉めたんだっけ」

「まぁ、色々あったけどな」

結局元サヤだっけ、どうだっけ。

「どれだけ大事か…、か」

「何だよ、おかしいか?」

珍しく、照れてる。

「アッハハ」

「隙あり!」

残った1ピースを盗られた。

「返せコラ」

「知らん(モグモグ)」

嬉しい。兄貴が今、幸せで良かった。

どっちかなんて、つまりは自分に訊けってことなんだな。





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