‐‐‐‐‐‐‐帰り道⑧‐‐‐‐‐‐‐

「寄ってく?あっ、でも、もう遅いかな」

「遅くなっちゃったし、お母さんに挨拶しようか」

「いいよ、いいよ、やっぱり。話好きだから、帰れなくなっちゃう」

そうだな、まだカレシでもないのに。

「ありがとう。今日一日」

「こっちこそ、ありがとう。すっげぇ楽しかった」

「たぶん、今日のこと、一生忘れない」

「そんな、もう会えないみたいな」

「…そうだね、変だよね」

俯いて、なかなか顔を上げなかった。

「青木?」

「んっ、ゴメン」

「顔、上げてよ」

「やだ」

「どうして」

「…バイバイ言うのが、辛くて」

さっき感じた淋しさ。おんなじように感じてくれているのか。

今日会ってからの色々な感情が込み上げてきて、抱き締めたくなった。けど、ここはやっぱり、許可とるべきだよな。

「青木ー、お願いがある」

「なに?」

顔を上げてくれた。

「抱き締めても、いい?」

「うー……」

うん(Yes)、なのか、ううん(No)なのか、判断つかないまんま、青木が半歩、歩み寄ってきた。

これは、つまり、Yes?

「ダメー、もう限界…」

伏し目がちの瞳から、涙がポタポタと、こぼれ落ちた。ヤッベ、最後の最後に、泣かせてしまった!

肩に手をかけ、抱き寄せる。しゃくり上げる背中と頭を、そっと撫でた。




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