‐‐‐‐‐‐‐山下公園②‐‐‐‐‐‐‐

「カッコイイなんて言われたことない」

佐久間や椎名の、カッコイイ奴らの顔が浮かんだ。青木は俺を推してくれてるから、間違いなくフィルターかかってる。

「わかんなくても、いいよ。私がショーを好きなのは、そういうところだから」

「?」

「自分の良いところに、気付いてないところ」

「いいとこなんて」

「ショー、いっぱいあるよ」

「…」

「サヴァン症候群って、知ってる?しゅうのことで気になって、調べたんだけど」

「知ってる」

発達障害にまつわることは、一通り調べた。

「しゅうは、好きなことになると、ものすごく記憶力がいいの」

「うん、わかる」

「短い時間しか見ていなくても、まるで写真を撮ったみたいに細かいところまで全部」

「実際に、撮ってるんだよ、頭の中で」

「どういうこと?」

「俺の場合は、これ大事、って思うと、仕舞うんだ、ファイルの中に」

「ファイル?」

うー、説明難しい。

「イメージの中で、だけど」

ヤバい。
変な奴その2・よくわからない能力編。

「これも、あんまり人に話したことない。誤解されて、酷い目に遭ったこともある」

あのカンニング事件が浮かんだ。

「その、サヴァン症候群の能力が、発達障害がある人の中で比較的よく見つかるっていうのは知ってるけど、俺の場合は天才とかそういうんじゃないから」

「どうしてわかるの?」

「別に…、特別じゃない。絶対音感だってざらにいるし」

「いないよ」

「いるって」

「ガンコ。どうして自分を下に下に持ってくの?」

ザ・ジャムの「Going Underground」のフレーズが、フラッシュの様に頭をよぎる。なんでこんな時に。