‐‐‐‐‐‐‐映え‐‐‐‐‐‐‐
「男の方がデカくなきゃいけないってことないだろ」
「女子って気にするじゃん。見映え」
「気にしない子もいるよ」
「俺は気になる」
「オレは…、あんまり考えたことないな」
そりゃーお前ぐらい顔が良かったら女子がほっとかねーわ。
「だってさ、例えばキスするとして、立ったままするとは限んないだろ?」
そう言ってニヤッと笑った目にゾクッとした。またしても漂う、けしからん色気。立ったままじゃないキスって…。
カァァァァァァァ
と音が出そうな位に妄想で赤くなった顔が恥ずかしくて、
「そういうの言うの…、ヤメロー」
と力なく言い放ち、その場を立ち去ろうとしたら、椎名が、
「槙田って、かーわいいなぁ。ショーって呼んでいい?」
くっくっくっくっと、笑いながら言った。
好きに呼べー、悪魔!
そんな色っぽい目で、キスとか無造作に言うな。俺が女子なら、チビってる。
身長の話は、きみしろの中でも結構盛り上がった。みんなやっぱ気になるよな。
「ヒデは何センチ?」
「169.4cm」
「.(てん)4ってのが、泣かせる~(笑)」
からかうハマー(180cm)に、ヒデがジャンプしてアタマをハタきに行った。
「170で良くない?ソレ」
カッキー(172cm)が冷静に諭すが、ヒデは、
「ダメ!サバよんで言っといて、何かの機会にバレたら、そっちのが死ぬほど恥ずかしい」
「死ぬほどって」
大げさな…と以前なら思ったが、身長とか努力ではどうにもなんない部分って、本人にとってはすっごくセンシティブな問題なんだって、今更ながらに気付いた。