‐‐‐‐‐‐‐3S‐‐‐‐‐‐‐
ドアが開いて、珍しく椎名たち「3S」が一緒に入ってきた。それまでブーブー言ってた薬局がぴたりと話すのを止めたので、一瞬へんな沈黙がよぎったが、話しながら入ってきた3人は、特に気に留める様子もなかった。
バンド名、3Sか、3人の頭文字。俺もショーだから入れるな。
あーウソ、無理無理。
こんな、軽音に限らず皆の関心を常に集めるようなユニット入れない。臼井ちゃんも、うちのクラスでヒデに限らずファンが多い。
3Sじゃなくて、3M(3モテ)じゃん。おまけにバカテク。佐久間も、椎名がわざわざ誘う位だから、きっとギター上手いんだよな。
「よう」
佐久間が、俺に気付いて近付いてきてくれた。
「脚どうだ?」
「平気」
「病院行ってないだろ」
「行くほどのもんじゃ」
「行っとけよ。なんかあったらどうする」
「わかった、今日行く」
「よし」
微笑んで、俺の頭をポンと撫で、練習室に入って行く。
カッケー、佐久間。アニキ。
「なんか親しげじゃん、佐久間と」
ヒデに言われ、本多の仲間に襲われ、佐久間に助けて貰ったことを話した。
「本多、汚ねぇ奴だな。佐久間、スゴ。病院行っとけよ。何なら付き合う」
「マジで?助かる」
何となくだが、病院、苦手。待ち時間が長いところは特に。
「脚、見してみ」
捲って見せると、
「うっ、酷い!なんで直ぐ行かないんだよ、バカ!」
「見た目ほどひどくないって」
青痣って、一番痛いときより、快方に向かい始めた辺りが一番色鮮やかで見た目が派手な気がする。
表面がどう見えていようと、実態がわかるのは、その本人だけ。
人の気持ちも、そうだよな。