‐‐‐‐‐‐‐怒りの矛先‐‐‐‐‐‐‐

見てる。

休み時間、試しに移動してみると、明らかに本多が目で追ってくる。

やっぱり昨日の帰りも見られてたか。それだけ執着するからには、青木の動向を逐一チェックしてるに違いない。

振られたのに食い下がるなんて、その心理がよーわからん。だって、惨めじゃんか。

俺だったら、もしカオリンに拒否られたら、消えてなくなりたい、忍者みたいに。オッサンがよくギャグで言うよな。

「今日はこれにてドロンさせて頂きます」

怒りが、俺に向けられるのは、別にいい。何なら、俺をやっつけるのに頭がいっぱいになって、青木への付きまといがなくなればいいのに。それ以外に、俺がしてやれることなんて、ない気がする。

「話がある」

やっぱ来た。
望むところだ。

学校と駅のちょうど半分くらいの距離にある、今は使われてない古びたパーキングの陰の空き地。そこを抜けると近くに出来た塾への近道なので、時々通る奴もいるが、雑草が繁ってきて、最近は人通りもあまりない。

なんだよ俺、殺られて埋められんのかな?
目線に殺意を感じたから、シャレになんねーな。

空き地に17時。
練習は仕方なく途中で抜けてきた。
デートじゃなくても時間厳守の俺。

話…。何を話そう。
足元の草を踏みしめながら考えた。

多分すごく見下してくるから、説得は難しい。正直に言うしか、ないか。

そして、好きだったら、青木の気持ちを何よりも大事にしてやってくれって、頼むしかない。

何で俺が。

そっか、一応関係者か。

と、腑に落ちた所で、肩を叩かれた。
振り向いたら、

 

「?」

 

5人いる!