☆SASAMI☆

部活に行く途中、早速アヤと由依に話した。

「うちのクラスの3Sのファン3人が、ライブ観たいって」

「誰?」と、アヤ。

「チカとマナとユリユリ」

「でたー(笑)。シーナとサクマ目当てか。いいよ別に」

「なんか女子ばっかりになりそうね」と由依が笑う。

「もちろん私らの応援もバッチリやってもらうから」

アヤに言われたら、そりゃーやるよね。

部活でカオリンと合流、みんなで通しで練習した。サワちんみたいにキレッキレには叩けないけど、構成もしっかり頭に入って、バタバタだった最初の頃に比べると、いい感じ。みんなうまくなったなぁ。

楽器って、とにかくコツコツ個人練習しないと始まらないから、自分と向き合う時間が長い。反復練習して出来なかったことが出来たときの喜び。

上手な人って、元々のセンスもあるだろうけど、きっと沢山のひとりの時間を、その楽器と過ごしてきたんだな。

クラス対抗の合唱とかもそうだけど、みんなで合わせるときが、一番楽しいんだよね。ただの人数足し算だけじゃなくて、そこに生まれるなにか。

「みんなが練習してるから、私もなんかやりたくて」

ギターの練習を始めたアヤは、ヨッチャンにアレンジしてもらったリズム・ギターを当日も弾くらしい。やっぱギター2本だと厚みがあってイイ。

バンドが成り立つ最少形態のスリーピース、ギター、ベース、ドラムの、3S。大変そうだけど、カッコいいなぁ。
いっそのこと3Sが最後で、ウチらが前座でもよかったのに。正直やり辛い…と、考えに耽ってたら、カオリンと目が合った。

「マユ、もう一回最初からいい?」

「オッケー」

ダメダメ、こんな弱気じゃあ!一番練習頑張ってるカオリンに申し訳ないや。とにかく、下手なりにベストなパフォーマンスができますように。

カウントをとる。
「1,2,3,4!」