「凄かった。サワちゃんにしか、出来ないよ」
「そんなことないよ。部長から例の伝説の話を聞いたとき、自分だったらどうするかなぁって、イメージしてたのが役に立ったかも」
やっぱすごいや、サワちん。自分だったらなんて、想像つかないもん。
「それに…、ピンチヒッターで声かけてもらって、うれしかった」
「え?」
「私、後から入ったから直ぐに馴染めなくて、挨拶しても無視されたり」
それ、シーナファンの女子かも。
「『けいおんにイラナイ』
『ブス、でてけ』とか、かばんにメモが貼られてたり」
「えー!ヒドイ」
サワちん、全然ブスじゃないし。
ウチに調子に乗るなって言った二人の顔が浮かんだ。
「それ、ヤキモチだから。気にしない方がいいよ」←お前が言うな、とセルフツッコミつつ、
「3Sの男子、なんだかんだモテるし、やっかみだから」
「シーナとサックン、やっぱモテるんだ」
いいなぁ、ウチも呼び捨てしてみたい。
「私、そういうの疎くって…気をつける」
「あの二人と組んで対等に演れる女子なんて、他にいないよ」
「そっかな、ありがとう」
悔しいけど、それは本当。
「もしなんかあったら、ウチらに言ってくれたら、ウチらがサワちんを守る」
「サワちん(笑)?」
「あっ、ゴメン(赤面)。ウチ、ドラム教えてもらってから、サワちんのファンで、自分の中で勝手にサワちんて呼んでて」
「ちん(笑)」
「図々しいから言えなかったんだけど、サワちんって呼んでもいい?」
「うん!ちんがいい。ちゃんより近い。うれしい。ちんでいいよ!」
「ありがと。あんまり、ちん、、言わないで、恥ずかしくなってきた」
勢いで2回言いそうになった。危な!
あはははははは。
二人で笑いあった。
絶望的な気分で朝、家を出たのに、なんて器の大きい二人!ウチの小さな願いまで、かなってしまった。
ニャーム、ニャーム、今日、大丈夫だったよ、、、ありがとう。