☆ゲスト☆

模擬ライブ当日、少し早めにセッティングを手伝おうと思って行ったら、3人と一緒にサワちんが、いた。

「れれ?どうしたの?」

「あっ、マユちゃん、大丈夫?今日だけ臨時で手伝いに来たよ」

イヤホンを外して、サワちんが微笑んだ。

「大丈夫ってか、ウチのせいだから。みんなに迷惑かけちゃって」

おかしいな、今日はドラムマシンでやるって言ってたのに?アヤが、目を合わせない。

「今日ね、他のバンドの子にも観にきてもらうんだ。せっかくだからゲスト呼んじゃった」と、カオリン。

「ゲストって、サワちゃんにいつ頼んだの?」

「さっき」と、由依。

ええっ!そんなぶっつけ本番で叩けるもんなの?

「サワちゃん、大丈夫?」

「ウン。『明日も』はもともと知ってるし、なんとかいけそう」

視聴覚室にはもう既に見に来る子たちが入ってるから、控え室がわりのこの小部屋で軽く打合せしか出来ない。えぇぇ、信じらんない。上手い人ってそうなの?てか、もうセッティング出来てるとか、みんなやけに準備良すぎ。

「マユ、ちょっと」

アヤに呼ばれて廊下に出た。

「今日さ、2曲やったあとあの景山センパイの伝説、再現するから」

「えっ?あのヨッチャン(吉田部長)が言ってたやつ?サワちゃんには言ってある?」

「もちろん!」

満面の笑みだけど、なんか企んでるような。

2年前の後夜祭で、軽音で1番上手い先輩が撤収のときにやったという、圧巻のドラムソロ。帰りかけた生徒がみんな戻ってきて収拾つかなくなったという。

「サワちん、よく受けたなぁ」

しかも、今日言われたんだよね。
アレッ?アヤがどっかに消えた。

視聴覚室を覗くと、集まった部員の中に、シーナくんと佐久間も、いた。佐久間はニコニコだけど、シーナくんはなんか心配そう。そうだよね、急に彼女を連れていかれたら、なんだと思うよね。

えっ、なんだか人数増えてきた。緊張してきた~。ウチは出ないのに。