☆模擬ライブ☆

次の日、久々に部室に行けた。

「みんな、ゴメン。ウチの都合で三日も休んじゃって」

もう、平謝り。

「ニャンコもういいの?」

アヤがギターを肩に掛けながら言った。

「うん、もう大丈夫。アヤ、ギター始めたの?」

「ヨッチャンが貸してくれて練習中。ツイン・ギターだとカッコいいじゃん?」

へえぇ、意外!アヤって、「私の代わりにトイレ行ってきて!」なんてふざけて言っちゃう位、超面倒くさがり屋なのに。好きな人に勧められるとがんばっちゃうんだ。

「結構筋がいいって言われてさぁ私、指が長いから」

と、嬉しそうなアヤ。

「いきなりFコード押さえれるって結構凄いよね。でも、リード・ギターは譲んないからね」

と、カオリンがアヤにウインクした。

この二人が並んでギター弾いたら、凄い迫力だわ。
どうしよ、頑張んないと置いてかれちゃう!

「アヤ、あれは?」

由依が聞いた。

「あぁ、明日。16:30から、借りれそう」

「えっ、何?」

「明日、視聴覚室で、通しで練習やんの」

「えぇっ!もう曲決まったの?」

そうだ、ウチ、みんなに決めてねって、丸投げしたんだった。

「そっ。ドラムマシンでやるから、明日だけ見学しといて。雰囲気つかめるよ、多分」

うー、せっかく模擬ライブ出来るのに…。仕方ない、サボったのウチだもんね、しっかり見て聴いて、早く覚えなきゃ。

「わかったー。ありがと」

クビにならないだけ、マシなんだ。
自分に言い聞かせた。