ゆるい坂の通路を下って、明るいロビーに出た。眩しい!なんだか来た時とは別世界な気がして、戸惑った。

「ひとりだけ別な映画観たみたいだよ~🎵」

と茶化す由依をみて、自分が泣いていることに気づいた。

「やめな」

アヤが睨んで、「ごめん」と、由依。

由依はわるくないよ、気持ち、駄々漏れでホントにゴメン。

「あー、ウチ、今日ニャームを病院に迎えに行くんだった」

バレバレの嘘。

「一緒に行こうか」と、カオリン。

「ううん、大丈夫。ミーティング、ごめん。みんなで曲決めといて?」

笑顔をつくり、返事を待たずに、独りで階下に降りるエスカレーターに向かった。

ごめんごめんごめん、みんな。せっかくの楽しい気分がウチのせいで台無しじゃん。

子どもか?
自分にツッコミを入れながらも、同情されて気を遣われるのも、平気を装って楽しいテンションを保つのも、どっちも、ウチには無理だった。

致命傷。
すごくお似合いの二人の姿が、ウチの心を撃ち抜いた。なに、この、衝撃。


本当に、すごく、自分でもビックリするくらい、シーナくんのことが、好きだったんだ。

どんだけ徳を積んだら、彼みたいなひとと付き合えるの?来世?そんなのやだ~!

下を向いて歩きながら、涙がなかなか止まらなかった。