「んじゃ1曲だけ、エアロスミスの"Sweet Emotion"、演るね」

吉田部長が顔に掛かったロン毛をかきあげながら、ワン、ツゥー、とカウントを取り、シーナくんのベース・ソロで曲が始まった。

てか、シーナくんて、ドラムじゃないの?
ベースも弾けんの?えぇー、カッコ良すぎ!!

左足でリズムを取りながら、なんか地の底から蠢く感じの妖しいフレーズを弾く彼。無表情で気怠い感じが色っぽくて、普段のニコニコ顔とのギャップがすごい。

"Swe‐eeet emo‐ooo‐tio‐oon"
"Swe‐eeet emo‐ooo‐tio‐oon"

サビと思われるフレーズを3人でハモりながら、ドラム、ギターの順に入っていく。ドラムが入った処で、ぞくぞくした。あぁ、やってみたい。

"You talk about things and nobody cares"

普段と違う嗄れ声で吉田部長が歌い、すぐギターとベースのリフレインが入る。

"You’re wearing other things that nobody wears"

同じリフの繰返し。あんまり聴いたことない作りの曲だけど、カッコイイ。

"You’re calling my name but I gotta make it clear"

ギターとベースのノリ、頭の振り方が一緒。ヘドバン(ヘッドバンキング)って言うんだっけ。シーナくんの髪!綺麗。

"I can’t say baby where I’ll be in a year"

全員ユニゾンでアタック強めのフレーズを奏で、再び冒頭のサビに戻る頃には、ウチはすっかり魅了されていた。ヤバイ…。

隣のアヤが、腕をギュッと掴んできて、目が合った。(ねっ、ヤバイよね、これ)

うわ、どうしよ。ライバルにならないといいんだけど!