昨日まで楽しく一緒に遊べたのに、たった1日で、まるで透明人間になったかのように無視されるのが信じられなかった。

アレ?これってウチのこと見えてないんかな?鏡に映ってるか、トイレに思わず確認しに行ったっけ。

映ってる。いるやん。
ホッとしたと同時に、みんなは、心のなかからウチを仲間じゃないって消したんだ、と気付いて、それは本当にキツかった。

ここにいるよ。
勝手に消さないで。

意地クソ悪いやつは確かにいるけど、みんながみんな意地悪じゃないはず。

話しかけたときに、思わず普通に喋ってしまった(くれた)子ひとりひとりに手紙を書き、一人きりの時を待って話し掛け続け、どうにか卒業までにボッチの状態から脱した。

脱したけれど、ウチの心には深い傷痕が残り、友達を信じるのが怖くなった。信頼が大きいほど、裏切られた時のダメージも大きいから、友だちに対する期待値を、下げた。

①クラスの実力者(人望、容姿、発言力、人気)と仲良くしておく
②誰かの好きな人には近づかない
③共感を大事にする

苦しい経験から3つのコツをつかんだウチは、中学ではもう苛められることはなかったけれど、女子に対してすごく気をつかうようになった。

①誰がカーストの頂点にいるのか、気をつけて見定め、積極的に自分から関わりに行った。

②仲間になった子達の好きな人をチェック、誉めるけれども、決して絡まないように気をつけた。異性が絡むと恨みが深い。

③カワイイ、キツイ、キライの3K、共感大事。

それ、かわいい!
今日は朝晩の気温差おっきくてキツイなぁ。
生理痛、ツラいよね。
あの先生、ムカつかない?

そう、女子って、共感を重視する生き物。
3Kの共感の数が多いほど、仲間は増えるし、信頼も得られる。

そんなにピンとこなくても、とりあえず誉めとくし、気温の変化なんか全然平気でも、繊細で辛そうな子に調子を合わせる。生理痛なんて殆どないのに、憂うつだよねぇと笑ってみせ、ホントは好きな先生でも、難癖つけてディスったり。

自分の考えなんて、ウチが何が好きかなんて、どうせみんなそこまで興味ない。ゲームみたいに、人の中でうまくやること、そればっかり考えていた。

だからたまたま好きなものが一緒だったり、気持ちを本当に共有できたりすると、いつもとても嬉しかった。

友達の数は増え、カーストもどんどん上位になっていったけど、ウチの心はいつも淋しくて、そして、ヘマをしないようにと怯えていた。