スティックの先っぽをずっと目で追ってる黒猫のニャームが、コクコクうなずいてるみたいで、めっちゃ可愛い。

「もう、おまえは~♥」

抱っこしようとしたところで、コンコン、ノックはしたけど、ほぼ同時にママが部屋に入ってきた。意味なくない?

「ちょっと、菜箸しらない?アッ、やっぱり。なんかキッチンでゴソゴソしてると思ったら」

「あー、ウチのスティック返して!」

「ダメー!今から使うんだから。何やってんの?」

「へへー、部活の練習」

「おっ、めずらしい。入るんだ?帰宅部って言ってなかった?」

「いいの。試しにやってみる」

「ふふん」

「何その笑い」

「また好きな子出来た?」

「またって何よ」

「まっ、がんばんな。もうすぐごはんだよ」

「はぁい」

ハタチでウチを産んで、大学を辞めちゃったママ。けっこういい大学だったのに、勿体ない。ウチなんか絶対入れない、きっと。

女って損?
ママを妊娠させたそいつは、大学生活を謳歌して、今じゃけっこういい会社の部長なんだって。
パパなんて呼びたくないけど、認知してくれてて、定期的に養育費も送ってくれているらしい。ママも働いてるから、贅沢は出来ないけど、そんなに困らないで暮らせてる。

いつか、ママがウチを産んだハタチになったら、顔見に行ってみようかな。

女は損、なんかじゃない。
だって、子どもを産めるって、すっごいじゃん。
子どもが出来るのだって、当たり前じゃない。
無事に生まれるのだって、奇蹟。

だからHって、セックスって、本当はすっごく神聖なものなんだって思う。エロと絡み合ってるから、ちょっとややこしいんだけど。