コンコン。

「お二人さん、喉かわかない?」

ちょうどいいタイミングでサイダー、キター!
話に入りたそうな母からサイダーを受け取って、退散してもらう。もう充分喋ったろうが。はょ、あっち行け!

「カンパイ」

「何に?」

「お前の両思い」
そんで、オレの失恋。

「サンキュ。サワの転校のショックで、そっちが霞んでたけど、俺メチャメチャ嬉しかった」

「そりゃそうだろ」

「コクるのって、ドキドキ半端ないな」

「いつも受ける方だから知らなかったろ」

「受験より何より、ヤバかった」

「まぁ、いいから。カンパイ!」

「カンパイ!」

今日のサイダーは、いつもより喉に、バチバチ沁みる。

「シナユー、ベッドと蒲団、どっちがいい?」

「俺、どっちでも」

「んじゃ、ベッドな♪」
と、蒲団を取りに立ち上がったオレの腕を掴んで、

「佑、ふとん出さなくていいよ。セミダブルだから一緒に寝ようぜ」
とシナユーが言い出し、

一緒に寝ようぜ
一緒に寝ようぜ

アタマに反響して、しばしオレは、固まった。

「いや、そういうわけには…」

「俺、寝癖はヒドイけど、寝相はけっこういいよ。迷惑かけないから」

いや、全然迷惑ではないんだけど、オレが平静でいられるか…

「ふとん敷いちまうと洗濯もんが増えるだろ。お母さんに悪いから」

「…」

「…プッ!何固まってんだよ。安心しろよ、俺、ノンケだから」

オレがノンケじゃないから困ってんだよ!てめーのせいで。

「それと、もっと話したいし」

ダメだ、もう無理。

「わかった!許可しよう。シーツ替えたばっかだし。オレ臭くなっても知らねーからな」

「よぉし!」
ヤッターと無邪気に笑うシナユー。もう、知らん!