そうだ、母とオレ、すっかり浮かれてたけど、そもそもシナユーは何かあって、すぐ家に帰りたくないから寄ったんだよな。ヤツの話を聞かないと。

ヤツはすぐ寝落ちしちまうから、オレもソッコー、シャワー浴びる用意しとこ。


上気した頬に濡れた髪、首にタオルをかけて、シナユーが出てきた。天パは濡れると真っ直ぐになるんだよな、これはこれで可愛いなぁ…と、ぼーっと見てしまった。

「髪、へん?そんなジロジロ見んなよ」

「やっ、変くない。久々に短くしたな」
なんだ、へんくないって。オレ動揺してる…

「サワのお父さんにあんまりチャラついて見えないように、床屋行ったんだ」

涙ぐましいな、、

「似合うじゃん」

「そっか?ちょい切りすぎだけど、洗うの楽」

「オレ、ソッコー浴びてくるから、寝んなよ」

寝かせねぇぞ、、
あぁ、妄想が止まらない。。
ちょっとアタマ冷やしてこよう。

「わかったよ」
と微笑む。でも既に眠そう。

慌ただしくシャワーを浴びて部屋に戻ると、ベッドに腰掛けて、眠そうだが、かろうじてまだ起きていた。

「起きてたな」

「ん、LINEしてた」

「誰と?」
ヤボな質問。

「俺の…彼女」

ガーン!やはり。

「サワちゃんか?」

「ウン」

ガガーン!

「よかったじゃん」

「ああ、でも…」

下を向いて、応えない。

「何かあったのか?」

「仙台に帰っちまうかもしれない」

「!」

「親の離婚」

「シナユー」

目線は合わせないままで、淡々と語るシナユー。
でも顔を上げたとき、殆ど泣いているように見えた。