----------------宴----------------
ピンポーン。
我が家に鳴り響いた音に瞬時に反応し、オレを押し退けて玄関に向かう母。
なんだよ、普段鈍くさいくせに、気合い入りすぎ!
イラッとしながら後を追うと、玄関にアイツの姿が。
普段より少し短めにカットした髪に少し焼けた肌。男性らしさが増してるにも関わらず、かわいくてたまらない。やっばゲイなのか、オレ、決定か。
「こんばんは」
「ユウキくん!ますますイケメンになってない?もー、ドキドキするわぁ」
ヤメロって。
「お母さん、久しぶりです。これ、お土産、よかったら」
萩の月!甘いものそんなに食わないオレも、これはメッチャ好き。あとで自分の分確保せな。
「いいのに~♪ありがとう!お夕飯食べていくよね?」
「いいんですか?なんかご飯時を狙ってきたみたいで、すみません」
エヘッとオレをみて笑う。
よかった、そんなに雰囲気暗くない。
「食おうぜ」
肩に手を掛ける。
なんなら、ハグしたい!抱きしめたい!
落ち着け、オレ。ハァハァ。
シナユーが入った宴は、和やかで、とにかく話が弾んだ。こんなに嬉しそうな母を見るのは久しぶりだ。
この間の続きだという韓流ドラマの話にオレだけついてけねー。
「ヒョンビンってホントに海軍行ったらしいですよ」
オイ、一体いつ観てんだよ、しかもそんな小ネタまで。それでなくても普段あんまり寝てないのに。
そう言えば、女子の好きなドラマの類いも殆どコイツ観てるよな。単に粗筋を知ってるだけじゃない、かなりコアな感じで。
やっぱ不思議、シナユー。
見ていて飽きない。てか、ずっとずっと、見ていたい。