花火の二日あと、夕方シナユーにLINEで連絡を取ったら、ちょうど宮城から帰ってくるところだった!
東京駅まで迎えに行きたい気持ちを抑えて、
「どうだった?宮城」
と、ハートブレイクの覚悟を決めつつ訊くと、
「ん、よかった」
なんだ、このテンション。
沈んでる?
でも、「よかった」って、なんだ?
「?」
「たすくー」
「なんだよ」
「家、行っていい?」
やっぱりなんかあったのか。
「真っ直ぐ家に帰りたくない」
「いいよ、来いよ」
どうみても両思いだから、何か他の原因が?
親父さん怒らせちまったとか。
「荷物、多いだろ。新宿まで行こうか?」
「いや、ほとんどない。オカンと三緒に持ってってもらったから」
ますます変だ。家族と別行動?
「東京駅に18時23分に着く。そのまんま佑んち行くよ」
「オッケー、待ってるよ」
シナユーファンの母に吉報を知らせる。
案の定、ウキウキだ。
「ご飯!食べていくよね?カレーだけど大丈夫?嫌いなものない?」
こんなに喜ばれると…、引くわー(笑)。
どうかドタキャンにならないように。
元気のないのは気になるけど、あと数時間で会える。
見慣れた家の中が、何か追加の照明着けたみたいに明るく見えて、恋がもたらす輝きに驚く。あぁ、やっぱり好きなんだ、オレ。
ふと、平野が目撃したという臼井サワの涙を思い出した。
シナユーと似てるあの子は、きっと何か辛くても周りに気づかせないタイプ。好きな相手なら尚更心配させまいとがんばっちまうかも。
宮城に行く前のシナユーは、幸せオーラでいっぱいで、悪い予感のかけらもなかった。
そんな歌あったよな、RCサクセションのスローバラード。洋楽ばっかのヤツが、珍しく聴かせてくれた日本のロック。
涙の理由(わけ)が、知りたい。