「佑、おはよう」

「よっ」

シナユーの笑顔が眩しい。
かわいいなーお前。

うちの高校は英語教育に力を入れていて、学校案内でもアピールしているせいか、オレたちの学年も女子が若干多い。語学系は女子の方が強いからな。うちのクラスも6~7人多いか。

男子校に行った仲間には羨ましがられるけど、共学を心から楽しめるヤツなんて、シナユーみたいに女がほっとかないタイプか、佐久間みたく自分からガンガンいけるヤツだけじゃねぇのか。

女子が集団で何かコソコソ話ながらこっちをみて笑ってるときのあのいたたまれない感じ。男子校だったらどんだけ気が楽か。一番後ろの席から、教室の皆を見渡して、考えた。

待てよ、変異中のオレだから、男子校行ってたら変異完了したりして。

それはそれで、アリか。アリなのか?

好き嫌いって、本能的なもんだからどうしようもないんだ。
無理矢理好きになることは出来ない。
好きなものを嫌うことも出来ない。

ヤレ、男とか女とか、そういうのヤメヤメ!
思考停止ー!



----------------作戦会議----------------

帰りの改札で、また平野に捕まった。

「なんだよ、待ち伏せ得意だなオイ」

「今日、ちょっとだけ時間ある?」

「作戦会議ってやつ?」

「そう。少しスタイリング必要。サイトーの」

「なんで」

「気ぃ悪くしたらゴメンね、サイトーの着こなしってカッチリして遊びがないから、ウチのカレシに見えないかなぁて思って」

「大きなお世話」

慎重に言葉を選んでるけど、つまりはダサいってことだろ?