「もし、気合い入れて準備してっても、結果は変わんなかった気がする」
「なんで?」
「脈の有り無しって、わかんだろ、なんとなく」
ちょっと視線を外して、シナユーが頷いた。
「結果はともかく、伝えたかったんだよな、相手に。あなたは素晴らしいよ、オレは、好きだよってこと」
「年上?」
「まぁ、そこはいいから」
話しながら、あの時の気持ちを反芻してみる。
オレを動かしたのは、溢れでた、いとおしさ。
そんなん言えるかー!クサッ。
お前じゃあるまいし。
「そっか、何かわかる気がする」
わかるんだ?
「そうだな、わざわざタイミングを計らなくても、自然な気持ちに任せたほうがいいのかもしれない」
「オレのは失敗談だぞ」
困ったように笑って、
「俺も、佑とおんなじなんだよ。サワに、サワってスゲェよ、俺は好きだよって伝えたいだけなんだ」
照れがない。さすが。
「ただこの頃、なんか引き合いが多くて、サワが遠慮してあんまり一緒に帰れなくなって。俺、焦ってたのかも」
「見たよ。行き帰りに、結構ファンにとっ捕まってるよな」
人当たりが良すぎるってのも、考えもんだな。
ポテト、食い終わった。そろそろ行くか。
駅までの道を歩きながら、話し続けた。
「エド・シーランとテイラー・スウィフトのコラボで好きな曲があってさ、"Everything Has Changed" っていうんだけど」
江戸?エドなに?知らん!
テイラーなんとかは知ってるけど、ブロンドの、めっちゃ美人。めざましで、見たわ。
あぁ、洋楽疎いから、うまく返せない…