話が尽きなくて、小学校以来になるが、駅まで一緒に帰った。
平野のいいところは、地味でパッとしないオレとも、保育園のときからずっと変わらない態度で接してくれること。変わらないっていうか、変えられないんだろう。そういうとこ、不器用だけど、信用できる。
「てか、平野、なんであんなに号泣?」
「ライブ見たでしょ?シーナくんの目線!ドラムばっか気にして…この頃よく二人一緒に帰ってるし…もーダメかもー!思ったら泣けてきた」
あー、やっぱりな。
「二人で帰るとこ、見たことある?すっごい嬉しそーなの、シーナくんが」
「あぁ、見たよ」
「好きになるとさぁ」
「うん」
「相手の言葉を、何十通りにも解釈して、結果、いい方に考えちゃうんだよね」
「それはお前だけじゃね?」
「そっかなぁ」
こいつは何だかんだモテるから、うまくいった恋の方が多いんだろう。
「いっぱい話聞いてくれたし、結構脈あり?って思ってたから、キツい」
それは…しょうがねぇな、シナユーは「貧乏性」だから。
「オレは、悲観的だから、脈なしと思ったら直ぐ定位置に戻るよ」
「定位置って(笑)」
「浮かれたステージから下りて、身の程わきまえるっていうか」
「そんなん言わないでよ、サイトー、いいよ。カッコつけないところが。見た目だって、よく見るときれいな顔立ちしてるし」
「気ィ使うなよ」
「ウチ、お世辞は言わないよ。髪、もっとラフにして、メガネ、も少しオシャレなのに変えたら?」
真っ直ぐに見つめてきた。よせ、ビビる。