片付けを手伝いながら、聞いてみた。

「シナユーだろ?」

「そう」

「アイツ、罪だよな」

「わかる?存在が、罪―!」

ハッ(笑)?どっかで聞いたような。

「ウチのこと、わかってくれる男子にやっと会えたと思ったのに」

「そっか」

「しかもカッコよくて」

「うんうん」

「笑うとめっちゃ可愛くて」

「わかる」

「わかってんの?」

「わかるさ、そりゃ。オレもアイツ好きだから」
思いがけず、つるっと口から出た。

「えー!サイトーってゲイ?」

「ちが!ちがくないか。とにかく、ノンケも改宗させるぐらいの破壊力ってこと」

「ん、キモいけど、なんかわかるー」

「キモくて悪かったな」


アイツは、人の、人を求める気持ちを、掘り起こすんだ。
そんなのなくても、生きてこられたのに、今までうまくやってきたのに。

人の温かさを知ったら、思い出してしまったら、それなしでは、生きていけなくなる。
どうしたら、アイツを独り占めできるんだろう?


全く、罪作りだ。
しかも、タチの悪いことに、本人は無自覚で、達観していて、こっちには何も求めてこない。

相手に何も求めてないから、なんでもないことで、心からの「ありがとう」がでる、あのキラースマイルと共に。

そもそも何も期待していないから、嫉妬もしないし、滅多に怒らない。人間なんて、狡くて、弱いもんだって、わかってるんだよな。