人気があって、女子同伴の登下校も時々あるヤツだけど、他の女子とは明らかに違う「特別」を嗅ぎとった。

って、何なん、オレ。
嗅ぎとってどうすんだよ。

本命登場か…。
親友の恋路がうまくいきそうなのを喜ぶべきなのに、何か妙な喪失感にやられて、足取り重く、家に帰った。

親友を取られた?

女子に。

いや、そんなん別に普通だし。彼女が出来ると、みんな多かれ少なかれ付き合いは、悪くなる。

そんなのお互い様だし(オレは相手いねーけど)、今までだって、ヤツの周りには常に女子がいて…。


その夜、奇妙な夢をみた。

シナユーが化けたシーナと二人で、公園を散歩している。

シーナは、足が痛い、と靴を脱ぎ、近くのベンチに座りこむ。 大丈夫か、と顔を覗きこむと、うん、と顔を上げて微笑んだ。

薄茶の大きな瞳に、白い肌。間近で見た唇の、いつものように弧を描いて口角の上がった形をきれいだと思った瞬間、キスしてしまった。

キス?

!!!

目が覚めた。

なにやってんだオレ。

カッコは女子でも、よりによってダチにキスとかあり得ねぇ。

!!!!

しかもいつもより30分も寝過ごしている。

「佑?今日ずいぶんゆっくりじゃない?」

「もう、気づいたら起こしてや、マジで!」

天然な母に悪態をついて、朝食もそこそこに家を出る。