バカだな、シナユーは軽く見えるけど一途だから、本命以外にコクられても、全部速攻、断ってたのに。
嫉妬でメンタルを病んだ桜井に完全無視されても、根気強く話しかけていたシナユーだったが、ある日を境に、追うのをやめた。
「こっちに気持ちが残っていても、迷惑だから」
そのあとも、いくつか引合いは絶対にあったはずだが、シナユーはもう特定の彼女を作らなかった。
もったいない…。
オレらランク２や３がせいぜいの連中には考えられない。
でも、何だか、ホッとしている自分もいた。
野郎に絡まれてるヤツをみた時のような変なモヤモヤではないけれど、いざ女子とカップルになってるところを見ると、やっぱりいい気持ちはしなかった。
ずっと観察を続けていたせいか、ヤツの良さを一番理解しているのは自分、という変な自負があった。
好きになるって、相手の存在をまるごと肯定することだろう？信じてやれなくってどうすんだ。
アレして、コレして、注文が多い奴は、シナユーじゃなくて、自分が好きなんだ。自分が愛されたくて、その願望通りに動いてくれないと、相手を責める。
そんな奴に、シナユーはもったいない。アイツの良さがわからない奴とは、付き合わなくていい！
なんだ、オレ、何イラついてんだ？アイツの兄でも親でもなんでもないくせに…バカ。 アイツのことになると、何か知らんが、熱くなる自分。
親友として付き合うなかで、シナユーの言動に惹き付けられ、一喜一憂する日々は続いた。