ヤツは、老若男女問わず、やたらと人懐っこい。年の離れた小学生の妹の仲間にも大人気。

本人いわく、人間関係の貧乏性。何だソレ?

その名の通り、誰に対しても気さくで感じがいいが、自分については、あまり多くを語らなかった。

ミステリアスで、形容しがたい妙な魅力があって、付き合えば付き合うほど、椎名結城という人間に、ますます興味が湧いた。

そう、これは興味だ、恋じゃない。
だってオレ、ノンケだからな。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐気になるアイツ‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

オレは陸上部、シナユーは吹奏楽部。
女子ばっかの中で、いつも楽しそうに微笑むアイツ。
基本、いつでも上機嫌。

2年はひょうきん者の佐久間と男子は二人だけだが、まったく肩身が狭そうではなく、むしろメチャメチャエンジョイしてやがる。

文化祭の時に、佐久間と二人で歌ったビートルズかなんかの洋楽も、発音がネィティブみたいで格好よく、あとで英語の先生に褒められていた。声も…、話すときより大人びていて、歌も上手かった。

入学した時は小柄だったらしいが、2年の中頃から終わりにかけて本人いわく15cm身長が伸び、それにつれて本格的にモテ始めた。

と、思ったら、最初にコクってきたという同じ吹奏楽のフルートの桜井美樹とあっさり付き合いだした。おい、先着順かよ?

桜井に合わせて、普段聴かないJ‐Popを聴いたり、帰りもよく一緒に帰っていて、仲睦まじい様子に見えたが、桜井がかなり焼きもちやきらしく、他の女子と少し二人で話したり、後輩にドラムを教えただけで、よく揉めているようだった。部活内でも問題になり、桜井がパーカッション女子と喧嘩したりで、二人で顧問に注意されたという話も聞いた。